VB出向で成長する若手
SmartTimes 三井住友銀行成長事業開発部長 北澤裕司氏

2019/8/2付
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若手行員をスタートアップに出向させる取り組みを試行的に始めている。スタートアップの事業成長をサポートするには斬新なビジネスモデルやユニークな技術をしっかりと理解することが欠かせない。

1989年住友銀行(現三井住友銀行)入行。ベンチャーエンタープライズセンター主任研究員を務めるなどベンチャー支援に従事。SMBCコンサルティング企画部長などを経て、2017年より現職。

1989年住友銀行(現三井住友銀行)入行。ベンチャーエンタープライズセンター主任研究員を務めるなどベンチャー支援に従事。SMBCコンサルティング企画部長などを経て、2017年より現職。

それにも増して失敗を恐れず新たな事業に挑む大胆さや事業立ち上げの圧倒的なスピード感、フラットな組織文化、限られた人的リソースの中でいかに責任意識や自己完結力を根づかせるかなどアントレプレナーたちの経営戦略を知る行員を増やすことが重要だ。

人材の面でスタートアップの成長支援に貢献するとともに、起業家の経営手法を見せて真の事業成長のサポートスキルを学ばせることを狙い、思い切って20代の行員を派遣した。これまではシニア人材を中堅以上の企業へ出向させるのが主流だったが、前例にとらわれず新しいことへの挑戦としてスタートした。

出向した若手行員は大きな組織での仕事とは全く異なる環境で、自分で考え自己を律し、自らの足で仕事を熟していく経験を積んでいる。どう動いたらよいか全然わからない、自分が何もできずつらい思いをするなど、悩みを乗り越え、従来なかったアイデアの着想、柔軟な仕事の進め方などを身に付けて短期間に成長をしてくれている。銀行で働くことの意味や将来のキャリアを改めて考える機会にもなり「スタートアップで経験を積みたい」と名乗り出る若手行員もいる。

昨今の金融機関はAIなど新たな技術の進展やフィンテックベンチャーに代表される異業種からの新規参入もあり、業界として大きな変革が求められている。そして何より、顧客が金融機関に求めるニーズやサービスの価値、顧客とのつながり方が変わっている。

日本型雇用モデルが変わるのに伴い、企業と従業員の関係も変化が求められている。その中では従業員の自発的な貢献意欲(エンゲージメント)を高めることが重要で、結果的に顧客への貢献意識も高まる。

もともとはスタートアップへの人材面での支援が狙いだったが、我が国の将来を支えるスタートアップが金融機関に求める新たな価値を知り、若手行員に成長の機会を提供する仕組みになっていると気付いた。

もちろん、まだまだ課題は山積みだ。出向中にぶつかる「経験したことのない課題」をどう解決させるか、得られた銀行へのニーズをどう行内に取り込んでいくかなど、出向させる側で対応すべき宿題も多い。

それでも出向した若手行員がスタートアップの経営陣と一緒に直面した課題を丁寧に解決していくことで、これまで考えもしなかったソリューションが生まれると思う。

新たなビジネスに果敢にチャレンジするスタートアップに負けないように、我々も積極的に新たな取り組みを通じて変革にチャレンジしていきたい。

[日経産業新聞2019年8月2日付]

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