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個人で自動運転AI開発

SmartTimes ユーザーローカル社長 伊藤将雄氏

グーグルやエヌビディアといった人工知能(AI)企業、電気自動車メーカーの米テスラなど世界中の自動車メーカーが巨額の研究開発費を投じ、自動運転技術を開発している。一方でアマチュアによる自動運転AIの開発が、新たなホビーとして米国を中心に広まりつつある。

1997年早大政経卒、ビジネス誌出版社に入社。2000年楽天入社。02年に学生時代に開発した「みんなの就職活動日記」を事業化し、04年に楽天に売却。05年にユーザーローカル設立。

これは実車の10~20分の1ほどの大きさの無線操縦カー(RCカー)を改造してカメラや超小型コンピューターを搭載し、自動運転できるようにするものだ。実車の自動運転と同様に、ディープラーニング技術による画像認識を基に走行する。ミニチュアであれば事故の心配もなく、コストもそれほどかからない。

この流れを作ったのは有志による「Donkey Car」というプロジェクトだ。自動運転のためのプログラムやRCカーを改造するパーツの3Dプリンター用データを無料配布すると、世界のエンジニアがダウンロードしてクローンを自作するようになった。

愛好者が集まってタイムを競うレース大会も開催されている。Donkey Carの可能性に着目したのか、米アマゾンも同様の仕組みの自動運転RCカー「Deep Racer」を発表している。

Donkey Carの自動運転は、模範となる人間の運転をディープラーニングでまねする。まず人間がリモコン操作でコースを数周走らせ、操作内容と車載カメラ映像をメモリー・カードに保存しておく。これらをGPU搭載のパソコンで機械学習させ、人間を模倣したハンドルやアクセルの操作をする画像認識AIが完成する。できたAIアルゴリズムをRCカーに搭載した名刺サイズの超小型コンピューターに組み込めば、コース状況を判断して最適なタイヤ角度や速度で自走するようになる。

Donkey CarによるAI教育のメリットとして、機械学習用データを手軽に自前で用意できる点が挙げられる。画像認識AIの開発を学ぶには大量の画像データをあらかじめ用意しておく必要があり、個人では勉強用の画像データを準備することが難しい。

Donkey Carの仕組みを使えばコースを数周走行させるだけで、大量の車載カメラ画像と走行記録を入手できる。このデータを使い、AI開発の流れを学ぶことができる。

筆者が経営するユーザーローカルでは、この仕組みをさらに一歩進めて、実車レベルの自動運転技術に近いAIアルゴリズム開発を学ぶことができる「自動運転AIプログラミング研修」を用意している。

この研修では信号機の状態にあわせて自動でブレーキをかけるAIや、目の前の車を自動追尾する隊列走行AIなどの開発を学ぶことができる。このような研修を通じて、国内自動車メーカーが優秀なAI人材を確保できるようになることを期待している。

[日経産業新聞2019年7月31日付]

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