2019年9月17日(火)

工業デザイン 使用感カギ
新風シリコンバレー 米インタートラストテクノロジーズマネジャー フィル・キーズ氏

コラム(ビジネス)
2019/7/30付
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シリコンバレーのビジネス環境において、工業デザインを巡る3つの報道がここ数カ月であった。

カリフォルニア大学バークレー校在学中に交換留学で来日。日本のIT(情報技術)産業にも詳しく、技術誌やウェブサイトなどでジャーナリストとして活動。日本での勤務経験もある。

カリフォルニア大学バークレー校在学中に交換留学で来日。日本のIT(情報技術)産業にも詳しく、技術誌やウェブサイトなどでジャーナリストとして活動。日本での勤務経験もある。

まず、ビジネス用途のインターネット上で動画会議ソフトウエアおよびサービスを手がけているズーム・ビデオ・コミュニケーションズが2019年4月に新規株式公開をしたことだ。19年6月にはチャット機能を中心とするビジネス・コラボレーション・サービスを提供しているスラック・テクノロジーズも新規株式公開をした。

筆者が両社の製品を採用する経験上、ユーザーが使いやすい点が両社が成功した重要なカギであると思っている。

このベンチャー企業の1つの共通点は、技術企業が長い間に注目していたビジネス分野に焦点を当てた点だ。

例えば動画会議の場合、シスコシステムズ傘下のWebexが1995年に設立され、07年にシスコ社に買収された。シトリックス・システムズ傘下のGoToMeeting社も04年からサービスを始めた。

マイクロソフトが11年5月にスカイプを買収した狙いの1つは、同社のビジネス動画会議市場の位置を拡大することだった。

しかし、一般ユーザーの立場から見ると、こうした動画サービスの欠点は使いづらい点だった。報道によると、シスコから独立してズームを設立したエリック・ユアン氏は、顧客が求める水準に達していない点を認識していた。ユーザーが使いやすいようにするためにズームを立ち上げたという。

チャット中心のビジネス・コラボレーション製品分野も類似した履歴を持っている。

電子メールがコラボレーション・ツールとして欠点がある点は業界にはよく知られた話題だ。ロータスから承継したIBMの「IBM ノーツ」製品は早めにチャット機能を追加した。マイクロソフトもチャット機能付きの「マイクロソフト チームス」を提供している。

ズームと同じように、スラックは一般ユーザーが感じる使いやすさに焦点をあてたことが人気を急速に高めた理由となった。

一般的に、工業デザインとは、ハードウエア製品の魅力的な形式の設計と思われるだろう。しかし、シリコンバレーでは工業デザインの定義は、消費者やビジネス用途の製品に関係せず、魅力的なユーザー体験を全体に与えることとされてきた。アップルの成功は、この動向の重要な追い風だった。

技術業界全体に名前が知られているアップルのチーフ・デザイン・オフィサー(CDO)であるジョニー・アイブ氏が、同社を離れ独立する予定という報道が6月にあった。アイブ氏はアップルの元最高経営責任者(CEO)のスティーブ・ジョブズ氏と近い関係を持ちながら、アップルの工業デザイン戦略の父として知られている。

アップルはCDOの後継者を採用しないと報道されている。この決定は、同社の今後の行き先に懸念を呼んでいる。

[日経産業新聞2019年7月30日付]

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