2019年9月21日(土)

アップル、環境対策の強み
SmartTimes ITジャーナリスト、コンサルタント 林信行氏

コラム(ビジネス)
2019/7/29付
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最近は循環型社会の実現に向け多くの製造業が再生エネルギーの利用や製品リサイクルなどの取り組みをしているが、米アップルの取り組みは群を抜いている。昨年には43カ国にある340のオフィスと506の直営店すべてを100%再生可能エネルギーで運用し始めたと発表している。

最新の技術が生活や文化に与える影響を30年近く取材。マイクロソフトやグーグルのサイトで連載を執筆した他、海外メディアに日本の技術文化を紹介している。東京都出身。

最新の技術が生活や文化に与える影響を30年近く取材。マイクロソフトやグーグルのサイトで連載を執筆した他、海外メディアに日本の技術文化を紹介している。東京都出身。

さらには製品や製造工程に安全な薬品と化学物質を使い、利用者と製造者、地球環境の安全を守る。多くの業界標準より厳しい独自の基準を設け、新材料の評価や開発もしている。

これらに加えて資源の節約で「将来的に再生可能な素材とリサイクルされた素材のみを使って製品を作る」と目標を掲げている。

同社はトレードインというプログラムでiPhoneのリサイクル回収をしている。回収したiPhoneを解体し個々の部品を仕分けするリサイクルロボット「デイジー」も開発した。最初は数モデルしか対応していなかったが、機械学習の成果で現在は15モデルの解体に対応している。そうして回収した素材の一部は、すでに製品づくりにも生かされ始めている。

アップルのこうした取り組みをブランドイメージ向上のマーケティング戦略と見る向きもあるかもしれないが、パートナー企業との取り組みを見ると、そうではないことがわかる。

アップルは部品会社などのパートナー企業にも環境配慮を呼びかけ、推奨される行為のチェックリストを提供している。相手企業が望めば環境対策の相談に乗るほか、そうした取り組みへの支援もしているという。「100%再生エネルギーでの製造」への呼びかけには、16カ国にある日本企業3社を含む44社のパートナーが賛同した。

パートナー企業は1社ごとに性質が異なり、取り組みの内容もアップル社の関与の度合いも変わってくる。しかしアップルの技術指導を受けて実現した環境配慮型の製造設備で、他社企業の製品を作っても問題はないのだろうか。

アップルは、むしろそれを期待しているという。最初はアップル製品のために始めた環境への取り組みがその後、水の波紋が広がるように他社製品の製造にも影響を及ぼすことを期待しているというのだ。

日本のサプライヤーは、その製品の質の高さで世界中の製造業から人気がある。その日本メーカーが環境配慮型に転換してくれることは、地球環境に大きな影響を持つという。

アップルは日本企業の環境意識を高めるには国内パートナー企業が必要と考え、昨年末に脱炭素を求める企業グループの「日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)」に参画した。海外企業では初めてのことだ。アップルの協力を得て環境配慮型の企業に転換できることは同社へのサプライヤー企業にとって、長期的なアドバンテージにつながる。

[日経産業新聞2019年7月29日付]

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