春秋

2019/7/25付
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「宿題、なかなかできないね」。近所の公園で小学生が言う。「7月初めに出てるのにな」。友だちが応じた。聞き耳を立てると、2人の心にかかる一件は「夜空で夏の大三角形を探すこと」らしい。確かに雨やくもりが続いて、またたく星とは長くごぶさたしていた。

▼昨晩あたり、子どもらは空を見上げ、羽ばたく白鳥や琴の姿を思うことができたろうか。梅雨明けの便りが各地から届くが、日本と韓国の間に垂れこめた暗雲は、時に遠雷も響き、いっこうに消え去る気配がない。見透かすように、ロシア、中国の軍用機が日韓とも領有権を主張する竹島付近を相次ぎ通過、反応を試した。

▼国交正常化以来、最悪とされる両国関係。だが、それ以前も含めた長い交流の間には、こじれた仲を何とか良くしたいと、汗をかいた人も多くいたはずだ。近代では美学者の柳宗悦だろうか。日本人として朝鮮半島の仏像や陶磁器に魅了され、ソウルに「朝鮮民族美術館」を建てた。日本の統治には厳しい目を向けている。

▼武力や憎しみの政治を「不純」と断じ、過激な独立運動にも自制を求めた。かくのごとき賢人、今はいないのか。七夕を旧暦で祝う韓国では雨が喜ばれると聞く。織り姫とひこ星が再会したうれし涙で、豊作の兆しだからだ。関係改善へのよすがを求め雲を待つようでは、子どもの宿題は片付かず大人の願いもかなうまい。

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