春秋

2019/7/23付
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古代ペルシャに起こったゾロアスター教は、世界最古の啓示宗教とされるほどに長い歴史を持つ。早くも紀元前に、西アジアから北アフリカまで広がる版図を築いたアケメネス朝で国教に位置づけられていた、との見方もあるそうだ。その影響は広く、長く及んできた。

▼たとえば、8世紀の東アジアの大事件「安史の乱」を引き起こした安禄山と史思明である。ふたりとも、ユーラシア大陸の交易民族として知られたソグド人の血を引き、この宗教を奉じていたらしい。21世紀になっても、インド指折りの財閥であるタタ・グループの一族が、ゾロアスター教徒として世界的に知られている。

▼その最高神であるアフラ・マズダに由来する地名が、ホルムズである。かつてペルシャ湾で有数の港湾都市として栄えた町の名前であり、この名を冠した王国も存在した。現代においては何といっても、ホルムズ海峡が日々のニュースをにぎわしている。中東産の原油を世界の各地に運び出すルートを扼(やく)する、要衝である。

▼ここをタンカーが安全に往来できないと、世界のエネルギー市場ひいては世界経済が混乱する。無人機の撃墜やらタンカー襲撃やら拿捕(だほ)やら、きな臭い事件がこのところ相次いでいるのは、どうにも心配である。アフラ・マズダへの祈りは聖なる火を通してささげられる、とのこと。俗な火種を打ち払っていただけないか。

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