2019年8月24日(土)

春秋

2019/7/21付
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昭和の名人、落語家の古今亭志ん生さんに有名なエピソードがある。高座で話をしながら、うつらうつら眠り込んでしまったのだ。その場にいた常連客たちの反応が可笑(おか)しい。「志ん生が寝ているところなんてめったに見られやしない。起こさないで、ながめていよう」

▼まさか議場での居眠りや相次ぐ失言・暴言を大目に見てもらうつもりではなかろうが、与野党の先生たちが集まって、落語議員連盟を結成した。名付けて「落語を楽しみ、学ぶ国会議員の会」。先月の設立総会では、「しっかり落語文化を支えていきたい」とアピールし、ゲストに招かれた柳家さん喬さんが一席披露した。

▼落語の噺(はなし)の主役は多くの場合、市井の人たちである。几帳面(きちょうめん)なのに間が抜けている。生意気だが憎めない。そんな人たちが迷惑を掛け合いながら、お互いを受け入れ暮らしている。昨今の国内外の情勢を見るにつけ、なんとも素晴らしい世界に思える。国会の先生方も、そんな世の中をつくるために汗をかいてもらいたい。

▼盛り上がりを欠いたまま、参院選は投票日を迎えた。「どうせ何も変わらない」とそっぽを向き、後から「こんな政治じゃダメだ」と嘆くのは、デキの悪い滑稽噺のようで笑えない。1票を投じて、先生たちの働きぶりに目を凝らそう。そして次の改選となる6年後、有権者としてきっちり「オチ」をつけようではないか。

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