郷土の工芸 名画と味わう 大分県立美術館(大分市)
おもてなし 魅せどころ

2019/7/22付
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NIKKEI MJ

大分市の中心部にある大分県立美術館。2015年に開館し、年間60万人を集める。日本画から印象派まで5000点を超える豊富なコレクションに加え、アニメなどの企画展が好評で遠方からも人を引きつけている。

天井は大分県産の杉が美しい模様を描く

天井は大分県産の杉が美しい模様を描く

シャガール、ピカソ、梅原龍三郎。天井からの光が静かにそそぐ3階の常設展示室には、名だたる巨匠の名画が並ぶ。老朽化によって12年に閉館した県立芸術会館から引き継いだ作品で、約70点が展示される。

ひときわ異彩を放つのが竹細工の籠や花入れだ。大分県は竹工芸の産地として知られ、多数の名品が所蔵されている。数ミリの細さまで裂かれた竹が複雑な模様を織りなす竹細工は海外でも人気がある。米メトロポリタン美術館で17年に開いた展覧会では、50万人を集めた。

同館では大分県の芸術と世界的な作品を融合させる展示に腐心している。「乳白色の肌」で知られる洋画家、藤田嗣治の裸婦図と竹の籠は、相互を引き立たせるように並べている。

一方「企画展などで美術愛好家以外も呼び込むことも課題」と話すのは館長代理の渡辺修武氏。企画展は浮世絵から大人気アニメまで幅広く、入場者数は9カ月連続で前年比を上回る。最近では台湾などアジアからの観光客も多く、市内観光の名所となっている。

開催中の「ムーミン展」は貴重な原画に加え作者のトーベ・ヤンソンの生涯にも焦点を当てた企画で、平日にも関わらず多くの女性やカップルでにぎわう。高校の同級生と訪れていた友永昌代さんは「ムーミン展に興味が高まり訪れた。大分市内に来る時は立ち寄ることが多い」という。

建物そのものも魅力だ。設計は建築界のノーベル賞とされる米プリツカー賞を受賞した坂茂氏が担った。ガラス窓からの光が天井の木目に映り、暖かい光となって降り注ぐ館内は憩いの場となっている。チェコから旅行に来た大学生のエヴァ・ポスピハロヴァさんは「美術館というとこぢんまりとした建物を想像していたが、開放的な空間に驚いた」と話していた。

9月末からはラグビーワールドカップの開催に合わせて、浮世絵と刀剣の企画展を開く。海外の人に日本文化を知ってもらう狙いだ。豊富な常設展のコレクションと幅広いテーマの企画展で、今後も年間50万人以上の来館者を集め続けていく。

(西部支社 荒木望)

[日経MJ 観光・インバウンド面 2019年7月22日付]

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