2019年9月16日(月)

写真はハードからソフトへ 親子で撮り場、思い出作る
先読みウェブワールド (野呂エイシロウ氏)

2019/7/15付
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NIKKEI MJ

「インスタ映え」という言葉が生まれて久しい。東京・原宿でタピオカドリンクを片手に懸命にスマートフォンで撮影している若い女性を見ない日はない。

自由に飾り付けをして親がゆっくりと子どもを撮影できる(東京都立川市のノハナの店舗)

自由に飾り付けをして親がゆっくりと子どもを撮影できる(東京都立川市のノハナの店舗)

スマホの発展の陰でカメラの衰退は著しい。レンズ交換式のカメラ市場は1千万台近辺だが、毎年10%前後のペースで落ちている。キヤノンの御手洗冨士夫会長は今年はじめ、デジタルカメラの市場が今後2年間で半分ほどに縮む可能性があると指摘した。筆者もデジタルカメラは持たずiPhone1台になってしまった。カメラの名残は、スマホの画面上のアイコンが一眼レフというくらいだ。

そんな時代に家族向けフォトブック作成アプリ「ノハナ」を展開するノハナ(東京・渋谷)が6月、ららぽーと立川立飛店(東京都立川市)に「OYACO nohana」という店を開いた。10月14日までの期間限定だ。

ノハナは13年にミクシィの社内ベンチャーとして発足し、今年3月にMBO(経営陣が参加する買収)により独立した。スマホで撮った写真を選ぶと、20ページのフォトブックになって毎月1冊が無料で届くユニークなビジネスを手がける。田舎の祖父母や親戚に届けたいとなると有料で追加注文できる。

フォトブックアプリを主力としつつ試みたのが、親子向けに撮影や工作を体験できる実店舗だった。親子で小道具も作って撮影でき、紙のメガネに色を塗ったり旗を作ったりと楽しそうだ。料金は親子ペアで1600円。ワークショップは別に300円から。

大森和悦社長は「フォトブックで『思い出を残す』ことはある程度できたので、『思い出を作る』まで踏み込みたい」と狙いを話す。実店舗ならより直接、家族のコミュニケーションを生み出せる。

店を構えたのは「別の写真アプリの販促のためにユーザー向けのイベントを実施したのがきっかけ」と振り返る。複数の撮影ブースを設けて自分のスマホやカメラで撮影するイベントを開いたところ、告知から数時間で予約が全て埋まった。「とても大きな反響があり、事業にできる可能性があるのではと考えた」

のろ・えいしろう 愛知工大工卒。学生時代から企業PRに携わり、出版社を経て日本テレビの「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」で放送作家デビュー。戦略PRコンサルタントとしても著作多数。愛知県出身。

のろ・えいしろう 愛知工大工卒。学生時代から企業PRに携わり、出版社を経て日本テレビの「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」で放送作家デビュー。戦略PRコンサルタントとしても著作多数。愛知県出身。

立川の店の利用者はどう感じているのだろう。「用意してある背景がかわいいし、子供がリラックスして遊べて時間制限もなく私も焦らない。今までにない良い表情が撮れた」(0歳女児のママ)、「工作がすごく楽しかったと子どもが言っているので来週も来るかもしれない」(4歳女児のパパ)などといった反応が聞かれた。

兄弟で来店した場合の対応も工夫している。「スタッフが上の子と遊んでくれ、下の子の撮影がスムーズにできた」との声も届いたという。

大森氏に写真の思い出を聞くと、「小学生の頃、元日に写真館で家族写真を撮っていた。不器用な父親なりの家族への愛情の表現方法だったのだろう。今回の事業の原体験になったのかもしれない」と当時に思いを寄せる。いずれは5~10店を出す予定だ。

確かにカメラのハード需要は衰退しているかもしれない。だが、インスタ映えも含めて写真を楽しみたいというソフトの分野には、まだまだ発展の余地があると思う。

[日経MJ2019年7月15日付]

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