春秋

2019/7/6付
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今から15年ほど前のこと、フィンランド最北端ラップランド地方の村で少女が父親に尋ねた。「ねえパパ、男の人も大統領や知事になれるの?」。彼女が暮らしていた行政区の知事はハンネレ・ポッカさん、国の大統領はタルヤ・ハロネンさん、ともに女性だったのだ。

▼東京・上野の国立西洋美術館で始まった美術展開幕時のあいさつでペッカ・オルパナ大使が披露したエピソードである。ポッカさんは今は環境省の事務次官を務め、ハロネンさんは12年の在職中、国民に「ムーミン・ママ」と慕われた。くだんの少女は24歳になり、先ごろ母国の緑の党で2人の女性副党首の1人になった。

▼上野で開催中の「モダン・ウーマン」展は、19世紀以降のフィンランドの近代美術を率いた女性アーティストを紹介する。列強にはさまれた小国は、芸術・文化で国を強くしようと男女が平等に入学できる美術学校を創り、女性のパイオニアを次々に送り出したのだという。同時代の芸術の都パリでもありえなかった話だ。

▼4日に公示された参院選では立候補者の女性比率が戦後最高の28%に達した。とはいえ男女が平等な政治参画の実現とはまだまだ言いがたい。どんな世界であっても、道をきりひらくロールモデルが必要だろう。日本の少年少女が誇ることができる「ムーミン・ママ」の一日も早い登場を期待して、一票を投じたいと思う。

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