12年ぶり 近くで会えるゾウ 円山動物園(札幌市)
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コラム(ビジネス)
北海道・東北
2019/7/8付
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NIKKEI MJ

札幌市で1950年に開業した「円山動物園」。中心部からアクセスが良く、市民の憩いの場として人気を集めてきた。最近ではホッキョクグマ館やゾウ舎などの新施設が相次ぎ開業し、訪日外国人(インバウンド)も増え始めた。市民の動物園から、外国人も訪れる観光地へ「脱皮」を図っている。

3月には世界的な専門家が設計した新ゾウ舎が完成した

3月には世界的な専門家が設計した新ゾウ舎が完成した

円山動物園はJR札幌駅から車で15分程度のところにあり、地下鉄で行くこともできる。緑に囲まれた円山公園と、北海道でも有数の神社、北海道神宮に隣接。良好なアクセスと自然豊かな環境を兼ね備え市外・道外客にも人気だ。

3月には新ゾウ舎が完成し、12年ぶりにゾウを公開した。世界的な専門家が設計。プールやトレーニングルームを設けて様々なゾウの動きを間近に楽しめるようにした。「室内でこれだけ近くでゾウを見れるところは世界でもそうない」と園の担当者は自負する。

16、17年度に80万人前後だった来場者数は18年度には前年比24%増の100万9685人に急増。39年ぶりに100万人の大台に乗った。18年3月に開業したホッキョクグマ館の効果もあり、同年9月に発生した北海道地震による休園の影響をはねのけた。

訪日客の来園も追い風となっている。園内マップは英語、中国語(繁体字、簡体字)、韓国語を用意し、アナウンスも4カ国語で呼びかけている。近年はタイ人の来園も増え始め、タイ語版のマップも準備する予定だ。

訪日客の来園者は全体の5%だが、国内からの来園者が減る冬季には比率が4割程度に達することもある。東南アジアからの訪日客にとって雪の動物園は珍しく、魅力の世界発信が課題となっている。

4月には開園100年目を迎える2050年を見据え、長期方針「ビジョン2050」を策定した。ホッキョクグマやアジアゾウなど温暖化で絶滅の危機に直面する希少種の繁殖に力を入れ、「命をつなぐ動物園」としての道を歩んでいくことを掲げた。

ワシントン条約の規制により、絶滅危惧種の動物を新たに確保することは難しくなっている。野生動物の多様性を維持するため、国内外の動物園と連携しながら繁殖を後押しする。ビジョンには持続可能な経営に向け企業との連携や、入園料の見直しを検討することを盛り込んだ。動物園としての機能を高めつつ、世界から集客する観光地への転換を目指す。

(札幌支社 荒川信一)

[日経MJ 観光・インバウンド面 2019年7月8日付]

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