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メディアリテラシーに重み フェイクニュース、皆で防げ

奔流eビジネス(アジャイルメディア・ネットワークアンバサダー 徳力基彦氏)

NIKKEI MJ

インターネットメディア協会(JIMA)の設立を記念したシンポジウムが先月、開催された。「メディアの創造性と信頼をともに。」というキャッチコピーで、発信者と消費者双方の視点から議論、啓発し合う団体だ。30以上のメディア企業が参加し、セミナーや勉強会などをすでに開いている。

インターネットメディア協会の設立記念シンポジウムには300人超が集まった

シンポジウムでは、NHKや東洋経済オンライン、ジェイ・キャストなどが「メディアの創造性と信頼のために今なすべきこと」を議論した。なかでも、TBSアナウンサーや報道番組キャスターを務めた下村健一氏による「メディアリテラシー」についての講演を紹介したい。

昨今、フェイクニュースと呼ばれる信頼性の低いメディアや、金もうけや政治的意図を背景に意図的にウソを流すメディアが増えていることが社会的な問題になっている。具体的な対応策として考えられるのが、ファクトチェックとメディアリテラシーだ。

ファクトチェックは、メディアで報じられた情報の真偽を検証する行為を指す。日本でも力を入れるメディアや組織が増えており、正誤の確認について効き目は直接的だ。ただ、そもそも現在は事実かどうかに無関心な人が増えており、対症療法だけでは不十分でもある。

そこで今後重要になると考えられるのが、フェイクニュースを信じて拡散に貢献してしまう人を減らすためのメディアリテラシー教育だ。

下村氏の講演では情報を受け取ったときに持つべき4点を紹介した。「結論を即断するな」「(事実と意見を)ごっちゃにしてうのみにするな」「1つの見方に偏るな」「スポットライトの中だけ見るな」がメディアリテラシーの基本だという。

メディアリテラシー教育が興味深いのは、社会人だけではなく、小学生や中学生などの子ども達も対象だという点だ。日本ではこうした教育はあまり学校で実践されてこなかったが、これからの世代には必須の知識の1つと言えるだろう。

従来のマスメディア時代には、メディアが発信する情報は全てが正しい前提で、メディアリテラシー教育が軽視されていた印象が強い。インターネット時代に入り、誰でもが情報発信できる時代になった結果、子どもも含めて全ての人に情報の真偽を疑う姿勢が必要になっているのだ。

とくりき・もとひこ 名大法卒。NTTを経て06年アジャイルメディア・ネットワーク設立に参画、09年社長。19年7月からはアンバサダープログラムの啓発活動とnoteプロデューサーとしての活動に従事。

こうした世の中の変化は、企業経営者や管理者にとっても他人事ではない。

今年に入り、飲食店のアルバイトが不適切な動画を投稿し、飲食店全体の業績に大きな影響を与える騒動が注目された。騒動が起きると、企業も学校もネットやソーシャルメディアの利用を禁止する方向に傾きがちだ。

ただ、利用を禁じられた社員や学生はネットやソーシャルメディアのリスクを理解しないまま育つだけでなく、隠れて利用したり間違った方法で使い続けたりしかねない。

日本におけるメディアリテラシー向上のための努力も、一部のメディア企業や教育者が推進するのではなく、企業や、学校、そして上司や先輩から教えていくことも必要な時代に突入しているように感じている。

[日経MJ2019年7月5日付]

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