デジタル化 日本存在感を
SmartTimes PwCコンサルティングパートナー 野口功一氏

2019/7/3付
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デジタルデバイスはますます我々の生活に欠かせない存在になっている。スマートフォンが登場してから10年強だが、もしスマホがなければ、生活に困ったり不便になったりすることがたくさんあるだろう。

イノベーションを生み出すための仕組み(プラットフォーム)づくりに従事。海外のスタートアップや大学、NPOとも連携してイノベーションの創出を戦略策定から支援している。

イノベーションを生み出すための仕組み(プラットフォーム)づくりに従事。海外のスタートアップや大学、NPOとも連携してイノベーションの創出を戦略策定から支援している。

人間社会は技術の進化によって生活を便利にしてきている。火を起こす方法を編み出したり産業革命を起こしたり、インターネットを開発したりと、生活に「なくてはならないもの」を増やし続けている。

いま話題の人工知能(AI)は、文字通り人間の知能を人工的に作ってしまうことだ。技術革新の歴史も最初は人間の作業の省力化や効率化が目的だったが、時代が進むほど、人間の持つ機能の代替化が進んでいるような気がする。

計算を例にとれば最初はそろばんのようなアナログから、電子計算機のようなデジタルになった。そしてコンピューターに高度化した。これが、さらに進歩してAIになっている。コンピューターくらいまでは省力化ツールといえるが、AIとなれば人間の知能を代替化するということだ。

情報入力の形も変わる。従来はキーボート入力が一般的で、入力すべき情報を人間が認識してキーを打つ。しかし今では顔認証など、人間が特別に認識しなくても情報がインプットされる技術が存在する。このような代替化と入力方法の変化を体現したデバイスとして、AIスピーカーのようなものも出現している。

スマホもそうだったが、デジタルデバイスの普及は人間の機能をテクノロジーが高度化した上で代替し、分かりやすく実感できる。AIスピーカーも同様だ。生活の向上を簡単に実感できる。Eコマースのように日常的に使うサービスを話すだけで利用できるのは利便性を感じやすい。

AIスピーカーはスマホやタブレットと比べ、普及するユーザーの裾野も広くなる可能性がある。最近では高齢者にもスマホを活用してもらう取り組みが進むが、文字入力のハードルはまだ高い。話しかければ情報を入力できるAIスピーカーは、より容易にデジタル世界へのアクセスを可能にするだろう。

テクノロジーの進化は従来までの進化以上に、高齢者や障害者などの生活も一変させる力を持っている。社会課題の解決にも役立つだろう。ただ、このような世界で日本企業はプレゼンスをどれだけ上げることができるか。

日本企業がAIスピーカーなどのデバイスで世界の覇権を狙うのはなかなか難しい気もするが、優れたハードウエア技術や部品、何かに特化したAIエンジンなど、構成要素で大いに強みを発揮する可能性はある。すでに成功している日本企業もある。

社会課題を解決するエンジンとなる代替化などの過程で、日本企業にも大きな存在感を示してほしいと思っている。

[日経産業新聞2019年7月3日付]

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