2019年8月21日(水)

米で出産準備 診察・薬・支払い、ネットで手軽に
奔流eビジネス (スクラムベンチャーズ マーケティングVP 三浦茜氏)

コラム(ビジネス)
ネット・IT
2019/6/28付
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NIKKEI MJ

半年ほど日本に戻り、里帰り出産をした。妊娠期は主に米国で過ごし、最大規模の病院兼保険機関であるカイザーパーマネンテで検診を受けた。出産予定日の2カ月前に帰国し、日本の大学病院で検診・出産・入院を経験した。比較すると圧倒的に米国の方がデジタル化が進んでいた。ひとつずつ整理したい。

カイザーパーマネンテ(米カリフォルニア州)の診察室ではタブレット端末を通して医師とのやり取りを通訳する。台の下には動かせるようにキャスターも

カイザーパーマネンテ(米カリフォルニア州)の診察室ではタブレット端末を通して医師とのやり取りを通訳する。台の下には動かせるようにキャスターも

筆者が利用しているカイザーパーマネンテは全米に1200万人の会員を持つ。医療保険と病院を兼ね備えた医療サービス機関で、700を超える診察拠点がある。

まず、コミュニケーションは電子メールだった。カイザーでは、会員専用のウェブサイトから医師や病院とメールでやり取りできる。例えば血液検査をした際は、即日または翌日には結果がメールで届く。結果に関する医師の所見もメールで送られてくる。

日本では結果は次回の検診時に聞くか結果を聞くために病院に行く必要があるが、そのひと手間を省ける。筆者は妊娠12週に胎児の染色体について診断するNIPTという血液検査を受けた。その結果もメールで送られてきたので、胎児の性別はメールで知ることとなった。

また簡単な診察であればメールで可能だ。妊娠中期にじんましんのような湿疹が出たことがあった。写真をメールに添付して送ったところ、担当の産婦人科医が皮膚科医に転送して診断結果をメールで返してくれた。塗り薬も処方してくれた。簡単な診察ならわざわざ病院に行くことなく対応してくれる。

継続して飲んでいる薬もウェブから注文できる。医師が問題ないと判断した薬はクレジットカードで決済して家に直接届く。いくらでも注文できるわけではなく、次のオーダーまでは一定期間空ける必要があり、大量オーダーはできないようになっている。

また米国は移民の国であり、常に通訳サービスを依頼できる。以前は音声のみ(スピーカーフォン)だったが、最近はタブレット端末にキャスターがつき、カメラを通して顔を見ながら通訳してくれる。事前に希望すれば、通訳に同席してももらえる。

みうら・あかね 上智大学卒。サンフランシスコ在住。米国でアーリーステージのスタートアップ投資を行うスクラム・ベンチャーズ マーケティングVP。

みうら・あかね 上智大学卒。サンフランシスコ在住。米国でアーリーステージのスタートアップ投資を行うスクラム・ベンチャーズ マーケティングVP。

日本の場合、診察が終わっても会計の行列がすごい。通っていた病院では30分から1時間待ちはザラだった。しかしカイザーでは会計作業がない。診察が終わったらそのまま帰る。保険がカバーしない分の請求が後日届き、ウェブサイトからクレジットカードで支払えるのだ。

このような対応もあり、米国の病院は日本のように混んでいない。もっとも医療費が高いので、みな病院に極力行かないようにするためもあると思う。待ち時間は日本の方が長く、予約時間が守られないことも多い。

日本の病院は混んでいて、病院に行くと逆に病気をもらってきてしまいそうに感じた。比べて米国では人が少ないためスムーズな診察になり、そういった心配もない。米国の医療制度は問題点も多いが、病院での体験は比較すると非常に快適だった。法律の改正なども必要で日本が米国と同様の対応をするのは一筋縄ではいかないかもしれないが、医師不足対策としても、医療機関のデジタル化は積極的に進めるべきだと感じた。

[日経MJ2019年6月28日付]

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