2019年7月19日(金)

春秋

春秋
2019/6/23付
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規模の大きな医療機関は病院、小さなところは医院と区別している。が、戦前は大きな病院でも、医院を名乗る例が多かった。東大病院も大阪大病院も大学の「付属医院」といっていた。「医」には治療の意味があり、病院より医院の方がぴったりくると考えたからだ。

▼「常用字解」(白川静著)によれば医という字は、かけ声をかけながら矢をうち、その力で悪霊をはらうことを表している。病は悪霊のしわざとされていたから、これを退散させることがすなわち治療であった。医者や医療といった医のつく言葉には、力をふりしぼって病魔に立ち向かうさまが込められているといえよう。

▼ところが「医」の担い手が元気に精力的に働けているかというと、実態はお寒い。医療現場は医師や看護師らの過重労働に頼っている。厚生労働省の残業規制案も、地域医療に欠かせない勤務医については月平均155時間もの残業を認めるという内容だ。過酷な労働で消耗した医師に診てもらうのは患者もごめんだろう。

▼栃木県下野市の自治医大病院や岩手県内の県立病院などは医師の負担軽減に向け、診療データの管理や診断書入力といった事務作業を代行する「医療クラーク」を増員する。患者自身も症状を事前に頭の中で整理し、的確に説明したい。医師にいきいきと「医」の仕事に励んでもらうため、一人ひとりにできることがある。

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