コーチング、スポーツに学ぶ
SmartTimes インディゴブルー会長 柴田励司氏

2019/6/24付
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クーバー・コーチングという会社がある。オランダ発祥で、知る人ぞ知る世界的なサッカースクールだ。現在の日本のA代表の半数近くがこのコーチングを受けて育ってきたという。日本では1993年にサービスを始め、現在は全国の2万人を超える子供たちが指導を受けている。この組織の日本を含むアジア・パシフィック地域代表の石橋社長に、全世界で受け入れられている秘訣を聞いた。

1985年上智大文卒。マーサ-ジャパン社長、カルチュア・コンビニエンス・クラブの最高執行責任者(COO)などを経て、2010年インディゴブルー社長、15年から会長。

1985年上智大文卒。マーサ-ジャパン社長、カルチュア・コンビニエンス・クラブの最高執行責任者(COO)などを経て、2010年インディゴブルー社長、15年から会長。

「優秀な選手の動きを細かく分解分析し、段階的に練習すれば誰でもテクニックを身につけられる。これがクーバー・メソッドだ。一流のプレーヤーたちがどのようにボールをタッチしているか、足や体をどこに向けているのかなどを学ぶ事ができる」という。

一流プレーヤーの動きを分解分析することが「デキない」を「デキる」にする秘訣になる。これはビジネスの世界でも同じで「デキる人の動き」を分析して伝えることが重要になる。

提案が良くない部下がいたとする。提案には事業性が全く感じられない。その部下に「事業性がない」と指摘しても、それだけでは改善されない。事業性がある提案例、つまり「デキる」提案を見せ、その良さを分解して伝える。比較して、どこが駄目か具体的に指摘する。これをしないと次回も同様になるだろう。

部下が繰り返し「デキていない」ことに憤慨し、感情的に接する人もいるだろう。これは事態を悪化させる。「デキていない」ことで落胆している人に激しい言葉を浴びせても、その場から逃げ出したい気持ちを膨らませるだけだ。感情的に伝えた内容は一切伝わらず、結果として同じことが繰り返される。「あいつはわかっていない」と落胆したり、ストレスをためたりする前に、クーバー流をまねしてみてはどうか。

事業提案は、その事業の顧客の心象を聞き手にイメージさせられるかにかかっている。提案プレゼンのすべてに言えることだが、最初の1分が勝負だ。そこで引き付け、聞き手に顧客と同じ気持ちになってもらう。そのうえで「買いたい」と思ってもらえるかどうかだ。利益計画など数字の話は、その後である。

優れた提案者はプレゼン資料に頼らず、自分の思いを語っている。しかも聞き手との対話を意識し「……ですよね?」「どう思います?」というフレーズを使っている。表情も柔らかく、適度に身ぶり手ぶりがある。こんな一つ一つの言動が優れた提案に結びついていることを伝えるのだ。

これは自分でもできる。社内外の良い提案を多く聞き、提案がなぜ優れているのかを分析して、どんどんまねする。何度もやるうちに、その形でやっていることの意味に気づく。

指導するという点ではスポーツの世界の方が、だいぶ進んでいると思う。ビジネスの現場でも良いやり方は取り入れてはどうか。

[日経産業新聞2019年6月24日付]

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