2019年9月18日(水)

プールの水底、歩いてる!? 金沢21世紀美術館(金沢市)
おもてなし 魅せどころ

2019/6/24付
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NIKKEI MJ

ガラス張りで円形の建物が特徴的な金沢21世紀美術館(金沢市)は、金沢観光の人気スポットの一つ。大型の展示物で体感的に楽しめる現代アートが魅力だ。北陸新幹線の開業以降、国内外からの観光客が増加し連日にぎわいをみせる。開館15周年となる今年は訪日客への案内機能充実や混雑対策などに取り組む。

人気の展示空間「スイミング・プール」は、鑑賞者がまるで水の中にいるように見える

人気の展示空間「スイミング・プール」は、鑑賞者がまるで水の中にいるように見える

入館してすぐ目に入るのが、アルゼンチンの美術家レアンドロ・エルリッヒ氏が手掛けた「スイミング・プール」。地下の展示空間をプールの水槽に見立て、透明の天井の上に薄く水を張る。地上からは水が満たされたプールの底を人が歩いているように見える。

地上と地下で人が出会うことを演出した一番人気の作品だ。千葉県から修学旅行で来ていた女子中学生は「普通の美術館と違って色々と体験できて楽しい」と話した。

収蔵するコレクションも大がかりなものが多い。例えば無数のガラス玉を並べて作る世界地図。足を踏み入れると壊れてしまう世界のもろさを表現する。黒沢伸副館長は「時代の問題意識を映す作品を深く理解してもらうため、あえて展示が大変な作品を収集している」と説明する。

開館は2004年。金沢大学や石川県庁の郊外移転で空洞化が懸念された中心街のにぎわい創出を目的の一つに掲げ「観光客を含め誰もが気軽に楽しめる、わかりやすい現代美術館をめざした」(黒沢副館長)。ガラス張りの構造もこうした思いを表現したものだ。近隣にある兼六園や「ひがし茶屋街」など、伝統的な観光名所とは一味違うスポットとして定着した。

18年度の入館者数は258万人と過去最高を記録し、新幹線開業前の13年度と比べると100万人以上増えた。開館当時に30万人としていた目標を大きく上回る。入館者の受け入れ体制強化に向けて今春、観覧料の引き上げを実施。一般の通常料金(特別展)は1000円から1200円に上がった。

増収分を原資として、英語と中国語に対応するコンシェルジュを週末を中心に2人配置。増加傾向にある外国人観光客への案内をスムーズに行えるようにした。館内スタッフも増員し、清掃などを強化する。

混雑時には90分に達する入館待ち時間を短縮するため、来年には受付カウンターを3カ所から5カ所に増やす。12月20日から来年2月3日までを全館休業として改修工事を実施。コインロッカーの設置やトイレの改修も行い、来館者の利便性を高める考えだ。

(金沢支局 小野嘉伸)

[日経MJ 観光・インバウンド面 2019年6月24日付]

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