2019年7月18日(木)

若いIT業界、防げ介護離職 仕事との両立をネットの力で
奔流eビジネス (通販コンサルタント 村山らむね氏)

コラム(ビジネス)
ネット・IT
2019/6/21付
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NIKKEI MJ

働く人による介護の問題がしばらく前から話題に上っている。若い人が多いIT(情報技術)業界では最近になって深刻なようで、私の周辺でも立て続けに目にするようになった。ITサービスを介護を巡る働き方に生かせないものだろうか。

働き盛りの人でも親の介護は突然やってくる

働き盛りの人でも親の介護は突然やってくる

振り返れば、ITは女性の活躍推進と相性が良かった。ワーキングマザー間の情報共有や育児など、ITが力を与えてくれたことは多い。

私は1998年に出産し、育児と仕事の両立に悩みながらも成長産業だったインターネット業界に自然と足を踏み入れた。「ワーキングマザースタイル」というブログを立ち上げ、両立に悩む世代の情報共有に努めてきた。ITのおかげで仕事と子育てを両立できた。

ITは介護にも役立ってほしいが、まだまだだと近ごろ思い知らされた。手伝っていたプロジェクトで、リーダー格の人が親の介護のために降りてプロジェクトが頓挫することが相次いだのだ。

思い返せば、介護を理由とする離職や仕事のペースダウンが、友人知人を含めて多くなってきた。介護を第一の理由としない隠れた介護離職も相当あると思われる。

介護は急に始まるケースと徐々に始まるケースの2パターンある。突発でよくあるのが、元気だった親が急病で入院し退院後の世話の引き受け手が見つからない事態だ。施設は高額でも空室がなく自宅に引き取り、現役世代の子供が世話をするので仕事に穴を空けざるを得なくなる。

そのため介護休暇制度を気軽に使えるようにしたり、テレワークで介護する人に寄り添ったりする仕組みが必要だろう。社員が若いIT業界も早々に備えるべきだ。

徐々に負担が大きくなるケースへの支援も急務だ。介護している社員が弱音をはけないことも多い。デリケートな話題に安易に踏み込むのはナンセンスだが、社員が声をあげやすくする必要はある。

介護する人の情報交換のネットワークももっとあっていい。具体的で効果のある相談ができる行政窓口が、仕事をしている人が使える時間帯に開いているとありがたい。

むらやま・らむね 慶大法卒。東芝、ネットマーケティングベンチャーを経てマーケティング支援のスタイルビズ(さいたま市)を設立、代表に。

むらやま・らむね 慶大法卒。東芝、ネットマーケティングベンチャーを経てマーケティング支援のスタイルビズ(さいたま市)を設立、代表に。

介護を担う人が備えておくこともある。1つは相談する人を作っておく。次に、デイサービスなどの施設やサービスを早めに抑え、できれば利用しておくことだ。

親が要支援や要介護の認定を受けても、本人はまだ大丈夫とサービスの利用に消極的になりがちだ。いざとなってデイケアを受けてもらおうとしても、親に寛容性がなくなり新しい場を拒否することがある。年をとると今までの暮らしへの執着が強まり、家族しか受け入れずデイケアのような他人がたくさんいる場へ行きたがらなくなる。

介護の問題を抱えていても仕事のブレーキをかけずにすむ環境づくりは待ったなしだ。裏を返せば、そこには大きなビジネスチャンスがある。介護を担う社員の働きやすさを真剣に考えることが、新たなITサービスにつながる可能性も大きいはずだ。

年金問題などで、長生きが怖いような印象をもつニュースが最近多い。親や自分の長寿を心から喜べるように、企業も働く人も、少しずつシフトしていくべきだろう。

[日経MJ2019年6月21日付]

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