2019年7月19日(金)

春秋

2019/6/17付
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梅雨の晴れ間、近くの公園を散歩した。クチナシの花が、誘うように甘い香りを放っている。その少し先の地面では、数え切れぬほどの小さな花が揺れていた。こちらはドクダミだ。白さなら負けない。濃い緑の葉はハートのよう。旺盛な繁殖力で、自在に伸びている。

▼葉は乾燥させ、薬効のある茶となる。かつては、ちょっとした切り傷に摘んだ葉をもみ、当てたりしたものだ。独特のにおいに野原で遊び回った幼いころを思い出す方もいようか。人の役には立つけれど、やや敬遠されがちな品種だが、植物学者の大場秀章さんによると、世界では、より積極的に活用する例もあるらしい。

▼中国の雲南地方では、地下茎をいためて食用とする。一方、ガーデニングの本場、英国では庭の一部を形づくる立派な園芸種として扱われているそうだ。門から玄関へのアプローチや、土の部分をおおい隠す目的などで使われて、野趣に富むのだという。日かげや寒さの中でもよく育つとの特徴が見込まれてのことだろう。

▼それぞれの持ち味を尊重し、周囲の様子も気にかけつつ、適材適所で全体の調和を図る。造園の要諦は、民主政治のリーダーの目配りにも似る。折から英国は次の首相選びの最中。今、世界を二分する価値観の一方の元祖として、長年の混沌に終止符を打つ実力やら貫禄を示してほしい。荒れ放題の庭に咲く花はあるまい。

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