ピュリティ ジョナサン・フランゼン著
情報戦 覇権争いの今を描く
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「ベルリンの壁」の崩壊以降に、世界秩序は大きく変化し、今では米国と中国が覇権争いをしている。争点になっているのが、ビッグデータを利用した情報テクノロジー産業であることは言を俟(ま)たない。東西冷戦時代にまでさかのぼりつつ、そんな覇権争いの「今」を扱う意欲作だ。
現代アメリカ文学を代表するこの作家は、心理描写を得意とする。家族の人間関係の中に世界の縮図を読みとり、それを寓話(ぐうわ)として描くことに...
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