2019年7月21日(日)

海外の同業知っておこう
SmartTimes GMOペイメントゲートウェイ副社長兼GMOベンチャーパートナーズファウンディングパートナー村松竜氏

コラム(ビジネス)
2019/6/14付
保存
共有
印刷
その他

SaaSを使ったビジネスを始める予定の知人が訪ねてきてくれた。それまでいた業界とは異なる分野で起業する彼に、私はこんな質問をしてみた。「海外の同業を調べましたか」

新卒でジャフコに入社。担当していたGMOインターネットの上場後に決済のスタートアップを起業。2005年にGMOベンチャーバートナーズを設立。12年よりシンガポールを拠点に活動

新卒でジャフコに入社。担当していたGMOインターネットの上場後に決済のスタートアップを起業。2005年にGMOベンチャーバートナーズを設立。12年よりシンガポールを拠点に活動

この質問に対して「探したけれど見つからなかった」という回答は多い。その場合、たいていは探し方が良くないか、ビジネス成立に何かしらの障害がある可能性を示している。

彼は「アメリカに数社あります」と答えた。「ベンチャーキャピタル(VC)からの投資も受け、ある程度成長しているようです」という。私は「投資シリーズはどれくらいまで進んでいましたか。シリーズA、B?」と質問を重ねた。

日本でネット系の急成長スタートアップを起こす場合は、海外の同業をなるべく早く調べておく必要がある。彼らがどのようなビジネスモデルかはもちろん、誰が出資しているのか。投資ラウンドはどれくらいかも調べた方がいい。これはとても大事な調査だ。

海外の同業は自国で成功すると高い確率で日本に来る。まずは英国やオーストラリア、シンガポールなどの英語圏を狙い、次が中国と日本だ。アマゾンやペイパルなどもそうだった。

彼らの投資(増資)ラウンドを見ると、日本進出までの時間が大まかに読める。シリーズBなら、あと2年半から3年くらいという具合だ。そしてそれが、起業家にとって「築城」の時間となる。この間に初期の顧客を獲得し、人材アセットを完成させなければならない。海外の同業がすでにシリーズDやEの増資ステージにあった場合、その国の「業界内トーナメント」で優勝しつつあることを示す。つまり海外展開の準備はもう始まっている。

同業たちの顧客規模別の「業界勢力図」を想像するのもいい。「A社の顧客は大手企業」「B社の顧客は小さな小売店」などと、たいていはターゲット顧客の規模別に業界内のすみ分けができているものだ。その勢力図には、数年後の日本の勢力図を予想するうえで重要なヒントがある。

自社はA社タイプでいくのか、B社タイプでいくのか。フォーカスすべき顧客を決めて、集めるべき人材や開発すべき製品を考える。大企業向けのA社タイプなら法人営業部隊の採用に予算を割く。カフェなど小規模事業者向けなら、ウェブだけで契約が完了するサービスにして優秀なウェブデザイナーを探すことになる。そしてライバルが上陸してくる時期を予想し、守りを固める必要がある。

20年前、私は日本のVCの社員としてアメリカに駐在し、現地の事例を研究して日本でオンライン決済代行サービスを起業した。しかし当時の私は、この思考が足りなかった。だから後に予想外の事態に直面することになる。起業直後に米国のトップ企業が、日本の競合と提携しながら上陸してきたのである。

[日経産業新聞2019年6月14日付]

「日経産業新聞」をお手元のデバイスで!

 スタートアップに関する連載や、業種別の最新動向をまとめ読みできる「日経産業新聞」が、PC・スマホ・タブレット全てのデバイスから閲覧できるようになりました。申し込み月無料でご利用いただけます。

 
保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。