2019年7月20日(土)

NEC、救急相談にAIチャット 症状の緊急度、質疑で分析
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2019/6/5付
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NIKKEI MJ

NECが自動応答ソフトウエア(チャットボット)を医療分野に展開し始めた。コールセンター業務に加え、自治体や医療機関の救急相談に活用する。埼玉県で試験運用し、7月には本格稼働させる。2019年度内にも全国の自治体や医療機関向けに事業を広げる予定だ。

質疑のやりとりから可能性の高い症状をAIが判定する

質疑のやりとりから可能性の高い症状をAIが判定する

ちょっとした病気やけがでタクシー代わりに救急車を呼ぶ。そんな不要不急の救急車の出動要請が後を絶たない。消防庁によれば、17年の全国の救急車出動件数は前年比2%増の634万件。10年前から100万件以上増えた。

各自治体は救急医療機関のパンクに悩んでいる。全国5位、733万人の人口を抱える埼玉県は24時間対応の救急電話相談に応じ、相談件数は年間20万件を超える。「7~8割は救急車を呼ぶ必要のない症例」(NEC関東甲信越支社医療ソリューション営業部の神原武主任)という。

人工知能(AI)を使えば対応の効率を高められ、適切な受診行動につながる――。そう考えた埼玉県はNECと協力して4~5月に、全国初の「AI救急相談」を開設した。看護師に代わりチャットボットが救急相談に答えるサービスだ。

「電話をためらう場面でもチャットなら気軽に使える。幼い子供を持つ親などに利用してもらいやすいと考えた」と神原氏。日本臨床救急医学会や自治医科大学付属さいたま医療センター(さいたま市)の協力も得た。

使い方は難しくない。相談者は専用のウェブページで、年齢や性別などの基本情報を入力。チャットが始まり「どのような症状ですか」と質問が投げかけられる。

症状を選択肢から選べ、「頭がクラクラする」など自由にも答えられる。「他にはどのような症状がありますか」などの質問とやりとりを繰り返すと、「熱中症」「うつ」など108種類に分類した症状のどれに当てはまるかをAIが判定する。

次に症状の重症度を判断する。「起き上がることができない」「意識状態が悪い」などを相談者が選ぶと、AIが緊急度を5段階で評価する。最も高いのが「最緊急・救急車」で、画面に119番ボタンが表示されすぐに救急車を呼べる。それ以外の判定には対処法を示す。チャットボットとのやりとりを看護師による電話相談にも引き継げる。

AIを生かすのはチャットの自由記述文から症状を特定する部分。単語や言い回しの違いによらず、文章の意味が同じかどうかを判定できるNECの独自技術を使う。表現が違っても、医学的に同じ内容なら同じ症状と判定するようAIに学習させている。

2カ月弱の試験運用では、「便利だと好意的に受け止められた」と神原氏。蓄積したデータを分析し、AIと医師の判断を照らし合わせて判定精度を高めていく。7月からは本格的に運用する計画だ。全国の自治体や医療機関向けにサービスを広げるため、「音声入力や多言語への対応など機能の拡充も進めたい」(神原氏)と意気込んでいる。

(大下淳一)

[日経MJ2019年6月5日付]

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