投資家・企業 進む世代交代 - 日本経済新聞
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投資家・企業 進む世代交代

新風シリコンバレー コア・ベンチャーズ・グループジェネラルパートナー ジョアナ・ドレイク氏

ベンチャーキャピタルのあり方はシリコンバレーの息苦しい「オールドボーイ」的なパートナーシップから、サンフランシスコの細かく多様性が豊富な新興企業へと変わってきている。この10年間で新たなベンチャー企業が爆発的に設立されてきた。業界アナリストのプレクインのデータによると、過去5年で毎年100件近くの初回資金調達が新たに行われ、計1500近くの新興ファンドが過去7年で設立されてきた。

新米のファンドマネージャーやゼネラルパートナー(GP)にとっての最大の課題は、彼らに賭けても構わないと思う安定した投資家を見つけることである。新しいベンチャー企業に資金を拠出しようと名乗りを上げる有限責任パートナー(LP)は、個人富裕層からファミリーオフィスなどひっきりなしに現れるようである。

新米のファンドマネージャーによる資金調達を成功に導くプレイブックやプラットフォームが欠如していることを認識した我々は、ベテランのファンドマネージャーであるベン・ブラック氏と、彼が率いるアカディアン・ベンチャーズとタッグを組み、2016年にレイズ・カンファレンスを立ち上げた。このイベントは、最も有望な新GPと新興ファンドマネージャーの分野に最も関心があるLPが、一堂に会する場として企画された。

今年5月に開催した「レイズ4」では、LPとGPがそれぞれ160人(団体)参加し、50社からプレゼンテーションが発表された。レイズは新しい有望なファンド投資において、信頼できる情報源となっていると、LPは話している。

おそらく最も喜ばしいことは、信頼できるレイズGPコミュニティーが、企業構築と資金調達に関する本質的な情報をやり取りするという場としてだけでなく、ディールソーシングの目的でも形成されていることである。

レイズでは、毎年慎重にデータを収集・分析して、新興ファンドをプロファイリングしている。興味深いトレンドが見られ、例えば今年については、ロボット工学、人工知能(AI)といった高度に専門的な分野のみへの投資に集中するのではなく、より全般的なファンドへの移行があった。過去5年間でファンドが過剰に専門的な分野に向けられる傾向があったものの結果的には早すぎた、あるいは市場の信頼を失ったと、我々は結論付けている。

これと同時に、企業が特定の地域に投資を行うという顕著な移行が見られている。我々は今年、リターンがより高いファンドに相関すると思われる企業特性を導き出すことに成功した。それは例えば、2人以上のGPと多様なパートナープロフィルを有する企業である。

レイズに参加するゼネラルパートナーの多様性が毎年増している。例えば今年参加した企業の3分の2に、女性またはマイノリティーのGPが存在した。我々はレイズで、ベンチャーキャピタルの将来のあり方を観察すると同時に、刺激的な世代交代を目撃しているのである。

[日経産業新聞2019年6月4日付]

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