テスラ工場の陰で暮らす
新風シリコンバレー 米インタートラストテクノロジーズマネジャー フィル・キーズ氏

2019/5/28付
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米テスラの自動車を製造する主要工場は、伝統的な自動車産地デトロイト近辺や米南部ではなく、シリコンバレーの東地域にある人口約23万5000人のフリーモント市に置いている。報道によると、2018年で同社の工場で約1万人の労働者が働いていた。執筆者は同市近くの街に滞在しており、以前にトヨタ自動車の本社がある愛知県豊田市に近い街に滞在した経験もあるので、テスラの工場近所の生活体験を伝えようと思う。

カリフォルニア大学バークレー校在学中に交換留学で来日。日本のIT(情報技術)産業にも詳しく、技術誌やウェブサイトなどでジャーナリストとして活動。日本での勤務経験もある。

カリフォルニア大学バークレー校在学中に交換留学で来日。日本のIT(情報技術)産業にも詳しく、技術誌やウェブサイトなどでジャーナリストとして活動。日本での勤務経験もある。

まず現在のシリコンバレーは、インターネット・サービスやソフトウエアなどの技術業界のマーケティングや開発が中心の地域であるというのが一般的なイメージだ。しかし、現在のテスラ工場は1962年に米ゼネラル・モーターズの工場として生まれた。隣のミルピタス市にも、米フォード・モーターの工場が1955年から1983年まで運営された。シリコンバレーには半導体などのハードウエアの工場もあったので、テスラの工場がフリーモント市に置くことを決めた時、報道機関がシリコンバレーに製造業界が戻った印として盛り上がった。

テスラの工場が10年に運営を始めてから、街で見かける労働者には同社の印を貼っている帽子や服を着ている姿が増えてきた。豊田市に比べると規模が大きくないが、工場の近くにテスラ製の自動車を置いている駐車場や小型工場もあちらこちらに見かける。

もちろん、テスラの工場近くの道には同社製自動車が多く走っている。シリコンバレーには同社の自動車のファンが多い。執筆者は3台置いている家を見かけたことがある。こうした自動車は一般の人の自動車か、工場からテストしているなどの自動車なのかを区別するのは難しい。だが、シリコンバレーの混んでいる道にテスラ製自動車を運んでいる専用トラックをしばしば見かける。

シリコンバレー企業の成長の中に、テスラの工場はどこまでに貢献していることを判断するのは難しい。だが工場の運営が始まってから、フリーモント市の交通渋滞が悪くなったのは確かだ。住宅の価格も上がっている。テスラの工場は労働者の仕事を増やした一方で、シリコンバレーでの生活を辛くしたことにもつながっている。

最先端の自動車を製造していることによって、テスラの工場がフリーモント市にポジティブな注目を与えた。だが、ネガティブなニュースも流れている。

急速に工場ラインを工事するため、同社の下請け企業が違法に東欧から労働者を連れてきて、ある労働者が大けがをしたというニュースがあった。さらに、工場内で労働者に事故をもたらし、カリフォルニア州政府から安全基準違反の報告が出ているというニュースも報道されており、安全性などが疑問視されている。

ということで、テスラの工場の全ては近隣にとってポジティブだと言えない。一方で、シリコンバレーに世界的な影響がある製造業界がまだまだあるということで、市民が誇りを持っている面もある。

[日経産業新聞2019年5月28日付]

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