2019年7月21日(日)

米大統領選 候補者サイト、ビジネスの工夫光る
先読みウェブワールド (瀧口範子氏)

コラム(ビジネス)
ネット・IT
2019/5/27付
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NIKKEI MJ

2020年の米大統領選が視野に入ってきた。4年に1度のこの時期を何度か体験したが、国民のエネルギーには毎回驚かされる。ことに今回は、トランプ大統領の続投をどうしても食い止めたい民主党から多数の候補者が出でおり、早くも物々しい競争の予兆が感じられる。

エリザベス・ウォーレン氏のサイトではまず寄付の画面が立ち上がる(奥)。グッズ販売も充実している

エリザベス・ウォーレン氏のサイトではまず寄付の画面が立ち上がる(奥)。グッズ販売も充実している

非常に米国風だなと感じるのは候補者のサイトである。ビジネスやデザイン、オンラインショッピングの要素を盛り込んで現代的なのだ。

例えば、女性候補で注目を集めるエリザベス・ウォーレン氏のサイトは、アクセスするなり出てくる画面がクラウド・ファンディングの雰囲気である。

大統領選でも近年は支持者からの少額の寄付が大きな力になる。「たった3ドルでも大きな違いを生みます」という訴えにあわせ10ドル、25ドルなど寄付額が選べる仕組みは、選挙運動よりプロジェクトへの参加を呼びかける乗りだ。

昨年の中間選挙で彗星(すいせい)のように現れたベト・オルーク氏は、サイトに政策提案をわかりやすく並べる。特に力を入れる気候変動には別のスペースを割き、精読用と速読用を分けた構成は気が利いている。

バーニー・サンダース氏のサイトはいかにも草の根風な支持者の存在が感じられる。選挙活動のボランティアのために、近隣住民や大学のキャンパスで集会を組織するためのガイドがグーグル・ドキュメントでシェアできる。

ネットを通じてセミナーをするウェビナーで訓練を受けたり、スラックで仲間と情報交換したり、アプリで進行を管理したりできるようだ。広報会社が関わると感じさせる他の候補者とは、明らかに違ったイメージがある。

最もオーソドックスなのはジョー・バイデン元副大統領のサイトだろうか。若い頃や過去の活動、家族との時間を物語る写真を多用し、政策提案と集会の予定を加えたシンプルなもの。かえって幅広い人々にアピールするようだ。

たきぐち・のりこ 上智大外国語(ドイツ語)卒。雑誌社、米スタンフォード大客員研究員を経てフリージャーナリストに。米シリコンバレー在住。大阪府出身。

たきぐち・のりこ 上智大外国語(ドイツ語)卒。雑誌社、米スタンフォード大客員研究員を経てフリージャーナリストに。米シリコンバレー在住。大阪府出身。

各候補者のサイトでは、候補者の名前と訴えを一言記したTシャツやバッジ、マグカップなどを販売している。支持者のユニホームのようなもので、寄付金を募る目的も兼ねている。普通なら数ドルで買えるTシャツに30ドル近い価格がついている。

今回気づいた新しい共通点は、LGBTコミュニティーにアピールするレインボー色のアイテムだ。これまで候補者の多様性重視を示すのは、様々な人々と交わる活動の写真やサイトのスペイン語表示だった。レインボー色からはLGBTの取り込みを明確に訴える候補者が増えているのがわかる。

総合的に楽しめたのは、冒頭に挙げたウォーレン氏のサイトだろうか。子供服や猫の首輪、犬のスカーフまでそろえウイットに富んでいる。彼女に関するフェイクニュースに対抗するために「ファクト・スクワッド」と題したリンクを設けて、出回る陰謀に一つずつ反論もしている。時代にマッチしたチームを抱えていることが想像される。

候補者選びは、何と言っても政策提案が主となるだろうが、サイトの作り方からこうした雰囲気も読み取れるのが面白い。

[日経MJ2019年5月27日付]

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