2019年6月16日(日)

プラごみ対策 企業連合 容器「使い捨てない」通販
Earth新潮流 日経ESG編集部 相馬隆宏

コラム(ビジネス)
2019/5/24付
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5月中旬、パリで一風変わったネット通販が始まった。売っているのはシャンプーや洗剤、清涼飲料などなじみのある商品だが、容器は「使い捨てない」でリユース(再使用)する。

ループの商品は、梱包も段ボール箱ではなく繰り返し使えるソフトケースで届く

ループの商品は、梱包も段ボール箱ではなく繰り返し使えるソフトケースで届く

顧客がウェブサイトから欲しい商品を注文すると自宅に配達されるのは、一般的なネット通販と同じだ。違いは、商品を使い終えた後の空の容器は通販業者が回収・洗浄し、再び商品を詰めて出荷すること。梱包でも使い捨ての段ボール箱ではなく、繰り返し使えるソフトケースを利用する。

同月ニューヨークでも開始し、年内にロンドンやサンフランシスコなどへ展開した後、来年、東京にも進出する。このネット通販を手掛けるのは「ループ」と呼ぶ企業連合だ。参加企業には廃棄物問題に取り組む米テラサイクルの他、米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)やスイスのネスレ、英蘭ユニリーバなど約30社が名を連ねる。

「昔の牛乳配達のようなモデル」(テラサイクルジャパンアジア太平洋統括責任者のエリック・カワバタ氏)というビジネスに大手企業が乗り出すのは、プラスチックごみ問題を解決するためだ。プラごみによる海洋汚染が世界で問題視されており、企業は規制リスクや評判リスクへの対応が急務になっている。

プラごみに関する規制は世界で広がっている。欧州連合(EU)は食器やストローなどの使い終わるとすぐごみになる「使い捨て」のプラスチック製品を2021年から禁止する。

国際非政府組織(NGO)のグリーンピースなどは、世界各地で見つかったプラごみを企業のブランド別に仕分けた結果を公表している。名前が挙がった企業は、プラごみを多く排出する企業と見なされイメージが低下する恐れがある。

投資家の要請もある。運用資産約1兆ドル(約110兆円)というノルウェー政府年金基金の運用会社は、食品や飲料メーカーに使用済みプラ容器の処理について解決策の開示を求めている。対応が不十分な企業は、こうした投資家から評価を下げられ、株価が下がる可能性がある。

一方、プラごみ問題は商機でもある。米マッキンゼー・アンド・カンパニーは、使用済みプラの回収・リサイクルが、30年には年間600億ドル(約7兆円)の利益を生むと予測する。

ループのネット通販に象徴されるように、世界はプラごみを出さない「ごみゼロ」の社会へ向かい始めている。壮大な挑戦だが、その先に未開の市場が見つかるかもしれない。

[日経産業新聞2019年5月24日付]

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