性別・年齢…決めつけは時代遅れ 企業は他者の尊重を
奔流eビジネス (通販コンサルタント 村山らむね氏)

2019/5/24付
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NIKKEI MJ

新しい時代、令和となった。どんな時代になるのだろうか? いや、どういう時代にすべきだろうか?

白髪を染めずに自然な髪のままでいる「グレイヘア」など多様なスタイルが広がっている

白髪を染めずに自然な髪のままでいる「グレイヘア」など多様なスタイルが広がっている

ジェンダー、人種、年齢、体形。古臭いお約束ごとに沿ったマーケティングメッセージは数え切れない。しかし思い込みや決めつけはほころび始めている。新米パパの人気タレント、りゅうちぇるさんをきっかけに「平成に置いていきたい」というハッシュタグが話題を呼んだ。平成に置いていきたいマーケティングメッセージを私も自戒を込めて書いておきたい。

◆「育児はママのもの」

育児当事者として第一に挙がるのが、ママであるのは避けられない。それでも育児の全責任が押し付けられる過剰な負担には、もはや違和感があるだろう。NHKも「おとうさんといっしょ」を放映するように、「育児はみんなのもの」という前提からそろそろ始めてほしい。まずは女性であり、構成要素の一部がママでもあるのだ。

◆「年齢を言ったらびっくりされました」

若く見られるのはうれしい。正直、うれしい。でも、年相応に見られることは恥ずかしいことではない。白髪を染めない芸能人も出てきて共感されるように、若く見られるだけが価値ではない。

◆「イタイ服装していませんか?」

逆に聞こえるかもしれないが、他人から若作りに見えても本人が楽しんでいるならいいじゃないか。年相応に見られることも年に徹底的にあらがうことも、その人らしさである。他人をイタいとあざ笑うことこそ、一番イタい。

昭和の時代は同じような考え方の集団にモノを売ればよかったので、単一の常識に沿ったメッセージでよかったかもしれない。平成という爛熟(らんじゅく)期を経て、令和では考え方や嗜好は性別・年齢層・職業など分かりやすい属性では整理できない。

今まで抑えるべきだとされていた嗜好や喜怒哀楽を、好きなときに好きなカタチで発信することが認められるようになった。さまざまなSNS(交流サイト)がインフラとなり、eコマースがニッチな市場も成り立たせる。企業がメッセージを発するときは、さまざまなフィルターを通して無用に人を傷つけないかより注意深く検証すべきだ。

むらやま・らむね 慶大法卒。東芝、ネットマーケティングベンチャーを経てマーケティング支援のスタイルビズ(さいたま市)を設立、代表に。

むらやま・らむね 慶大法卒。東芝、ネットマーケティングベンチャーを経てマーケティング支援のスタイルビズ(さいたま市)を設立、代表に。

神経質になりすぎて、めったなことを言えないという人もいるだろう。「いやいや、今までが無神経すぎたのよ」と、乙女ゴコロ踏みにじられ傷つくことに無神経であることを強いられた世代の私はそっとつぶやく。ウェブやテレビに氾濫するメッセージから不愉快なメッセージはなくならない。企業はいちいちかみつかれると不愉快かもしれないが、炎上しないと気が付かない状況にはげんなりだ。

ただ、このようなハラスメントがあるたびに、議論と反省があるのは前進だ。どうか令和は、人種・障害・性別・嗜好など多様性を尊重できる表現を、発信者と受信者が互いに議論することに飽きない時代でありますように。

その企業らしさを発するメッセージは、誰かのらしさを阻害しないことが何よりも大切だ。自分らしさを大切にしながら、他者のらしさを尊重する。平成から引きずっている大きな宿題である。

[日経MJ2019年5月24日付]

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