2019年6月16日(日)

春秋

春秋
2019/5/21付
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小説家や漫画家などの魅力を、あらゆる手段で最大化するビジネスを目指し産声をあげたマネジメント会社がある。大手版元の編集者が起業した「コルク」だ。出版不況のなか、電子媒体や海外展開も手掛ける。支援の対象は個々の作品だけでなく、作家という人格だ。

▼本紙・電子版に「『宇宙兄弟』生んだ編集者 出版の枠飛び出す」という興味深い記事が載った。累計発行部数約2000万部を誇る人気漫画の作者らを、コルクがどのように支えてきたかを伝えている。「マチネの終わりに」「ある男」などが版を重ねる芥川賞作家の平野啓一郎さんも、同社と契約を結ぶひとりである。

▼出版社、幻冬舎の社長が、特定の作家の著書の実売部数をツイッターで公表した。出版界では異例のことだ。この作家は同社が刊行した別のベストセラー本を批判していた。社長はつぶやきを謝罪し削除した。が、「売れない作家がえらそうに、と言いたいのか」「言論の自由にもとる」などネット上で物議を醸している。

▼月刊誌「新潮45」が、性的少数者を巡る特集の内容に問題があったとして休刊に追い込まれたのは昨秋のこと。売らんかな、の商法が批判を浴びた。業界は多くの課題を抱えているように見える。出版社と別組織の有能な編集者が、作品の市場価値を高める代理人として作家に選ばれる。そんな時代が来るのかもしれない。

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