2019年6月27日(木)

飲み放題サブスク月4000円、リピーター作り業界超える
先読みウェブワールド (野呂エイシロウ氏)

コラム(ビジネス)
ネット・IT
2019/5/20付
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NIKKEI MJ

サブスクリプション(継続課金)モデルが人気だ。洋服のレンタルから飲食店、さらにはトヨタ自動車までが一定金額でクルマを貸し始めた。筆者もネットフリックスにアップルミュージック、キンドルアンリミテッドなどのデジタルサービスから、スポーツクラブに家賃、新聞まで毎月、膨大な数を活用している。そんな中、ユニークなサブスクリプションが登場した。

飲み放題で盛り上がる(都内の金の蔵)

飲み放題で盛り上がる(都内の金の蔵)

三光マーケティングフーズの居酒屋チェーン「金の蔵」が3月に導入した、月額4千円で飲み放題のサービスだ。その名も「お得定期券」。飲み放題は通常は1回1800円で、定期券なら最高で1日当たり130円で2時間(注文は90分)に何杯でも飲める計算になる面白い試みだ。

専用アプリをダウンロードして必要事項やクレジットカードを登録すると、自動的に決済される。店舗ではアプリを立ち上げ専用の画面を見せるだけだ。

だったら夕方に一度行って飲み放題とし、夜に友達にそのスマホを貸して再び楽しむという悪事を思いついたが、1日1回の制限がついていた。さすがスマホアプリ。それでも高価格の生ビールも飲めるので好きな人にはうれしいサービスに違いない。

「定期券」の画面

「定期券」の画面

アプリを開発したのは、集客支援のインサイトコア(東京・港)だ。グルメサイト頼りから自社アプリを活用した集客にシフトする流れが広がるなか、「定期券を自社アプリで販売してリピート客を呼び込む施策を採用してもらった」と竹村義輝社長。そうして定期券のプラットフォームを作り上げた。

話がちょっとそれるが、本人の経歴は非常にユニークで以前はとび職をやっていたという。そのせいか非常にフットワークが軽く勢いがある。

筆者は今は酒を飲まないが、以前は飲食店で飲み放題コースを頼んだことがある。でも飲み放題が目当てではなくリピーターは別の話。実際にサービスを開始して、店舗の反応はどうなのだろう?

「数字は非公開だが、定期券購入ユーザーは伸びている」と竹村氏。金の蔵では始めてから1カ月程度で、定期券販売による利益が、システムの運用コストとしてインサイトコアに支払う金額を上回っているという。全国の店で導入している。

のろ・えいしろう 愛知工大工卒。学生時代から企業PRに携わり、出版社を経て日本テレビの「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」で放送作家デビュー。戦略PRコンサルタントとしても著作多数。愛知県出身。

のろ・えいしろう 愛知工大工卒。学生時代から企業PRに携わり、出版社を経て日本テレビの「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」で放送作家デビュー。戦略PRコンサルタントとしても著作多数。愛知県出身。

これは新しいサブスクリプションモデルかもしれない。酒だけという人はおらず、料理も注文するだろう。飲み放題だと食べすぎるかもしれない。会社帰りに金の蔵があればついつい立ち寄りかねない。新しい集客マシンだ。

外食チェーンだけでなく、アパレルやスーパーなどからも相談があるという。美容サロンでは利用回数に応じ月に1万~3万円という設定を検討している。幅広い業態に波及しつつある。

「お得定期券」をあらゆる業界に浸透させ、「スマホアプリを活用してリピーターを増やし、店舗の利益創出につなげたい」と竹村氏。ただ、健康の側面から飲み過ぎにはくれぐれも気をつけたい。次はタクシー乗り放題的なサービスがほしい。どこかやってくれないだろうか?

[日経MJ2019年5月20日付]

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