2019年6月27日(木)

春秋

2019/5/13付
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ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を見過ごすことによって、人間に危害を及ぼしてはならない――。米国のSF作家アイザック・アシモフが打ち出した「ロボティクス三原則」の、第1条である。1942年に発表した短編で初めて登場した。

▼ロボティクスはアシモフの造語で、日本では「ロボット工学」と訳されることが多い。そして三原則の内容は、ロボットが守らなくてはならない倫理である。そこでは主語はあくまでロボットであり、人間は主語となっていない。だがロボットをつくるのは人間なので、必然的に人間が守るべき倫理を示しているといえる。

▼もともとはロボットという言葉も、チェコの作家カレル・チャペックが世に送り出した造語だった。ただアシモフは、チャペックら先人たちがロボットを人類の脅威として描きがちだったことに不満を抱いていた。忠実で有能で献身的な、人類の友として描きたかったのである。科学技術への楽観が根底にあったのだろう。

▼いまや「ロボットの倫理」は現実の問題である。日本政府と欧州委員会は先ごろ、人工知能(AI)に関する指針を相次いで発表し、人間中心の考え方をそろって強調した。一方で「殺人ロボット」と呼ばれる自律型兵器の規制論議が国連で動き出したが、米中ロの抵抗で停滞気味。問われるのはやはりヒトの倫理である。

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