2019年6月27日(木)

ポッドキャスト参入相次ぐ 広告とAIスピーカーが原動力
先読みウェブワールド (藤村厚夫氏)

コラム(ビジネス)
ネット・IT
2019/5/13付
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NIKKEI MJ

「ポッドキャスト」という言葉をご存じだろうか? 2000年代初頭、アップルが発売して一世を風靡したモバイル音楽プレーヤー「アイポッド」に、音楽ではなくアナウンサーやパーソナリティーの語りを配信してブレークしたコンテンツだ。

スポティファイは急速にポッドキャスト事業を広げている

スポティファイは急速にポッドキャスト事業を広げている

かつては音楽以外も聴きたい人々に向けたニッチな分野だった。しかしスマートフォン(スマホ)が目覚ましい普及を遂げ、さらに「音声ブログ」と呼ばれるように個人でも手軽に番組を制作できる特性も相まって、個人はもちろん大手の新聞社や放送局まで幅広く番組を提供する人気ジャンルへと成長している。ポッドキャストをめぐっていま、旋風が吹き始めている。

嵐の予感はまずグーグルだ。ポッドキャストはアップルの専売特許と見られる無風の分野だったが、グーグルは自社のスマホ用基本ソフト「アンドロイド」に対応した「グーグルポッドキャスト」アプリを開発し、昨年に参入した。得意の検索技術を生かして大量のポッドキャスト番組からユーザー好みの番組を紹介し再生する。

音楽ストリーミング最大手のスポティファイが、ポッドキャスト関連ベンチャーを1~3月だけでも3社も買収したのが次なる異変だ。それぞれすぐれた番組やクリエーター、制作機能などに特徴がある。ダニエル・エク最高経営責任者(CEO)は年頭のメッセージで今後の重点分野としてポッドキャストをあげ、同社のサービスで楽曲以外の分野の比重が高まる見通しだと明言している。

大手だけではない。4月には新興の米ルミナリーが新アプリを投入した。数多くの人気ポッドキャスト番組を網羅し、特に知名度の高い番組には資金を積み独占配信を持ちかける。

ふじむら・あつお 法政大経卒。アスキー系雑誌の編集長、外資系IT(情報技術)企業のマーケティング責任者を経て2000年にネットベンチャーを創業、その後の合併でアイティメディア会長。13年からスマートニュース執行役員。18年7月からフェロー。東京都出身。

ふじむら・あつお 法政大経卒。アスキー系雑誌の編集長、外資系IT(情報技術)企業のマーケティング責任者を経て2000年にネットベンチャーを創業、その後の合併でアイティメディア会長。13年からスマートニュース執行役員。18年7月からフェロー。東京都出身。

ルミナリーは購読制で、収益をポッドキャスターらに分配する。広告以外に収益源を見いだせない制作者を引き寄せ、市場秩序の変革をめざす。実績もない計画段階ながら1億ドル(約110億円)もの資金を投資会社から調達し、一気にリードしようというパワーゲームを仕掛けた。

ポッドキャスト市場がなぜいま、ホットなのだろう。

一つは、ポッドキャスト広告の成長性だ。広告関連団体IABなどによると、2018年の4億ドルから20年には6億6千万ドルに成長する見込みだ。米国ではリスナーの数はラジオより少ないが、ラジオの広告市場は縮小傾向なのに比べポッドキャスト広告は成長市場だ。

加えて前年比2.4倍(デロイト調べ)と急成長を続ける人工知能(AI)スピーカーの台頭がある。ポッドキャストはスマホの成長に支えられてきた。スマホ市場は停滞を迎えたが、次の成長基盤としてAIスピーカーがある。

運転中に聞く人が多い米国のポッドキャストに比べると、日本は盛り上がりからほど遠い。マクロミルによると、国内でポッドキャストを日常で利用するユーザーは18年に5%に届かない。

それでも「ラジコ」や「ネットラジオ」などの利用を合計すれば、利用率は4割近くに上る。将来、ポッドキャストが国内でも成長市場へと転じる可能性はありそうだ。

[日経MJ2019年5月13日付]

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