2019年7月24日(水)

東京五輪チケット受け付け 決済や民泊、課題なお
奔流eビジネス (アジャイルメディア・ネットワーク取締役 徳力基彦氏)

コラム(ビジネス)
ネット・IT
2019/5/10付
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NIKKEI MJ

いよいよ9日に東京五輪観戦チケットの抽選受け付けが始まった。初日はウェブサイトにアクセスが集中し、混雑が長時間続いたようだ。

五輪チケットの抽選申込日を発表する北島康介さん(4月、東京都港区)

五輪チケットの抽選申込日を発表する北島康介さん(4月、東京都港区)

初日の混雑は仕方ないが、今回の五輪で残念なのは競技とは関係ない点でのイメージ悪化だ。新国立競技場の建築計画見直し騒動やエンブレムの盗用疑惑、桜田義孝前五輪相の失言問題に日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長の汚職疑惑まで、このままでは史上最悪の五輪と呼ばれてもおかしくない。東京五輪を冷ややかに見ている人は少なくないようだ。

3年前のリオデジャネイロ五輪も、開幕前はブラジルの景気悪化や治安の悪さが話題になった。一部選手が強盗被害を虚偽報告する騒動もあったが、それでも全般的には成功を収めたと言えるだろう。

日本もイメージを挽回して「さすが日本」「さすが東京」と言ってもらえる五輪にできるかどうか。日本ならではの取り組みを世界にアピールできるかが大きなポイントになると考えられる。

五輪のために来日する選手や観光客は、競技を観戦するだけでなく東京や日本を体験して自分の国に帰る。体験の一つ一つが日本の印象になり、再び日本に来るか、日本で体験した商品やサービスを自分の国でも使いたいと思うかどうかに影響する。

自分が旅行したときの思い出を振り返れば良く分かるはずだ。現地の人とのなにげない会話や店での体験、トラブルや助けてくれた人の対応など、ちょっとしたことで印象はポジティブにもネガティブにも大きく変わる。

そういう意味で少し心配なのが、日本は様々なサービスが海外とは異なる方向で進化してきた点だ。例えば海外では無線LANがイベント空間やカフェなどで比較的自由に使える。日本では通信会社の有料回線を契約する人が多いからか、無料の無線LANスポットは少ない。

また、海外ではウーバーやリフトのようなライドシェアサービスを使える国が多い。日本では解禁されておらず、ジャパンタクシーで使える配車アプリも時間帯によってはマッチングに時間がかかる。

とくりき・もとひこ 名大法卒。NTTを経て06年アジャイルメディア・ネットワーク設立に参画、09年社長。14年3月から取締役最高マーケティング責任者(CMO)。

とくりき・もとひこ 名大法卒。NTTを経て06年アジャイルメディア・ネットワーク設立に参画、09年社長。14年3月から取締役最高マーケティング責任者(CMO)。

キャッシュレス決済もランチ時には使えないレストランが多い。海外の観光客からすると、新しいテクノロジーやサービスが日本で使えないと、不満を持ったり日本は遅れているという印象を持って帰国したりするだろう。

幸い、東京五輪までまだ1年以上ある。ペイペイやLINEペイなどスマートフォン(スマホ)決済のキャンペーンが激しくなり、使える店が急速に増えている。エアビーアンドビーに代表される民泊も、ヤミ民泊のトラブルや民泊新法の施行で一時期はトーンダウンしたが、最近は登録数を戻しているようだ。

騒動の影響で、スポーツに興味の無い人からは東京五輪は壮大な税金の無駄とも指摘されている。だが日本の印象を決めるのは、選手や組織委員会、五輪相だけではない。

五輪を開く以上、日本に来てくれる観光客に良い体験をして帰ってもらいたい。普通の企業にもできることがあるはずだ。スポンサー企業でなければ関係ないと考えるのは実にもったいないことだ。

[日経MJ2019年5月10日付]

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