橋田壽賀子(8)山形・左沢
食糧求め貨車で親戚宅へ 「米1俵で奉公」胸突いた昔話
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大阪から東京に向かう夜行の鈍行列車の混雑は殺人的だった。戦争が終わり疎開先から都会の家や職場に戻ろうとする人たち。ふるさとを目指す兵隊さんたち。親戚や知人を頼って行く人たち。様々な乗客が、運行本数が減った列車に殺到した。
私は座れたが、そうでない人々は男も女も、大人も子どもも車内の隙間という隙間を埋め尽くした。網棚に幼い子どもが寝ている。私と向かいの乗客の足元でも誰かが横になっていた。
ようやく...