2019年7月21日(日)

春秋

2019/4/27付
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仕事に疲れると、口ずさみたくなる歌がある。●(歌記号)知らない街を歩いてみたい どこか遠くへ行きたい――。永六輔作詞、中村八大作曲で1962年に世に出た「遠くへ行きたい」だ。長く続くテレビ番組のテーマソングに使われ、世代を超えて愛され、なお命脈を保つ。

▼旅に出ること、未知の土地を巡ること。それは気ぜわしい日常を転換し、心をリフレッシュする特効薬だ。この曲が長く歌い継がれてきたのも、旅への憧憬をたしかな言葉でつづっているからだろう。「予もいづれの年よりか、片雲の風にさそはれて、漂泊の思ひやまず」。芭蕉の願望は現代人の胸の奥にも脈打っている。

▼10連休が始まった。旅先や車中で小欄を読んでいる人も多いはずだが、さっそく片手に缶ビール、記事を目で追うのも普段よりゆっくりだろうか。あれもこれもと欲張らず、車窓の新緑に見とれるだけでもいい。「なんにも用事がないけれど、汽車に乗って大阪へ行って来ようと思う」。こう書いた内田百●(もんがまえに月)は旅の達人だ。

▼「遠くへ行きたい」の歌詞は、●(歌記号)知らない海をながめていたい――と続く。「ながめてみたい」ではなく、時間の経過を忘れて、見知らぬ海と向き合っているイメージなのだろう。昨今の旅の情報といえばグルメも温泉も、もっぱら「○○してみたい」。けれど、せっかくの大連休である。ここは断然「楽しんでいたい」。

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