/

多様性を広げる「CEO」

新風シリコンバレー ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社長 ロッシェル・カップ氏

シリコンバレーの企業は近年、彼らの従業員の中での多様性が不十分であるという批判を受け続けている。従業員、特に管理者や技術者のほとんどが白人男性であるということが目立っているためだ。そのため、各社は様々な対策を取り入れて、多様な人材を引き寄せて定着させるための試みを続けている。

人事管理とグローバル人材育成を専門とするコンサルタント。シリコンバレー流の経営を理解し、学べるようにすることに注力している。著書に「日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法」

特にソフトウエア大手のセールスフォースの取り組みは新鮮だ。普通の会社のように人事担当直属の多様性担当を置くのではなく、社長直属のChief Equality Officer(平等の最高責任者)を指名。その裏にあったのは、多様性だけでは足りないという意識だった。

最近ではinclusion(多様な人材を仲間に入れる)という概念が米国ではキーワードになっているが、それも不十分だと同社のマーク・ベニオフ会長は判断した。なぜならイクオリティというのは、男女平等の同一賃金、均等な昇進機会、成功できる機会の平等性も意味に含む、広義的な概念であるからだ。男性と女性だけではなく、人種、宗教、出身国とジェンダー・アイデンティティーにおける多様性と平等を確立することもこのポストの視野に含まれている。

会長はこのイクオリティ担当と毎日1回は連絡をとり、また月2回ほどの頻度で顔合わせもする。いかに会長がこのテーマに関して真剣に取り組んでいるのかがうかがえるだろう。

そしてセールスフォースのChief Equality Officerとして選ばれたのはトニー・プロフェット氏という人物。マイクロソフトやヒューレット・パッカードのベテランで、ハイテク企業の課題をよく把握している。

その彼は以下のように述べる。「多種多様な人から構成され、彼らが孤立せず仲間意識を感じられるような職場を作り上げることは基本中の基本である。そして私たちがビジネスをしているコミュニティーの構成を当社の従業員構成に反映させるべきである。しかし、当社もテク業界全体も、この面ではまだまだ全然努力が必要です。全ての従業員が自分は歓迎されていると感じ、自分の声にしっかりと耳が傾けられ、また尊敬されていると感じ、そして毎日職場で自分のベストを尽くせるような環境であると思ってもらうことが不可欠である」

そんなプロフェット氏は主に4つの活動に関わっている。まずは、同社の企業文化推進活動「Ohana Group」のサポート。女性、南アジア出身の人、同性愛者、兵役経験者、黒人などの何らかの共通点を持つ従業員のための集まりである。二番目の活動は従業員の構成の多様性を推進すること。三番目は会社の文化に目を向けて、皆が居心地よく感じられるようにするための活動。そして四番目は会社以外の環境を視野に入れた活動だ。

Chief Equality Officerという肩書は、まだほかの会社では使われていない。だが、もし成功すればシリコンバレーの新しいスタンダードになるかもしれない。

[日経産業新聞2019年4月16日付]

春割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で申し込むログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で申し込むログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で申し込むログイン