2019年6月24日(月)

アジア結ぶLNGハブ 西部ガス、露社と連携協議
Earth新潮流

コラム(ビジネス)
2019/4/12付
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西部ガスがロシアのエネルギー大手ノバテクと、北極圏産の液化天然ガス(LNG)を日本国内の受け入れ基地で貯蔵・再輸出する事業について協議を開始した。アジアに近い九州の地の利をいかした輸送ハブを目指す。実現すれば、大規模なLNG基地開放の初めてのケースとなる取り組みは、加速する電力・ガス自由化と無関係ではない。

ひびきLNG基地(北九州市)

ひびきLNG基地(北九州市)

ノバテクが北極海沿いで生産するLNGを、西部ガスグループが運営するひびきLNG基地(北九州市)まで運び、いったん基地で貯蔵したうえで別の輸送船に積み替えて再輸出する。

両社は昨年末に覚書を交わし、年内の最終合意を目指して交渉中だ。合意すれば360億円を投じて貯蔵タンクを増設。ノバテクの新しいLNGプロジェクトが生産を始める2023年以降をめどに、年間300万トン規模のLNGを受け入れる計画だ。

国際エネルギー事業部長の山本敏雄常務執行役員は「西部ガス、ノバテク双方にメリットがある」と語る。北極海の航行には厚い氷を割って進む砕氷輸送船が要るが、太平洋に入れば重い砕氷船は輸送コストがかさむ。ひびき基地で従来型の輸送船に積み替えれば効率的な輸送が可能になる。

一方、西部ガスにとっては同基地の利用率向上につながる。同社は年間70万トン程度のLNGを輸入する。しかし、経済成長の鈍化と電力・ガス自由化に伴う競争の激化で今のままではLNGの需要は伸びない。

同社は電力の小売り用に、ひびき基地にLNG火力発電所の新設を検討してきた。しかし、九州では九州電力の原子力発電所4基が再稼働し、増加する太陽光や風力発電所の出力を強制的に抑制する事態も日常的になりつつある。LNG火力の新設計画は事実上、凍結状態にある。

西部ガスは26年度までに、今は3割にとどまるガス事業以外の売上高比率を5割に引き上げる目標を掲げる。国際事業はその一つの柱だ。商船三井もノバテクとLNGの積み替え事業の検討を進める。西部ガスはこれとは別個に、ノバテクに計画をもちかけた。

山本常務執行役員は「増大する中国やアジアのLNG需要の一部をひびき経由にしたい」と語る。延長線上には、西部ガスがLNGを第三者へ販売するトレーディング事業も描く。

17年の都市ガス小売りの全面自由化に伴い、電力・ガス大手が持つLNGの受け入れ基地の第三者への開放が制度化されたが、これまで実績はない。西部ガスとノバテクの取り組みはそこに風穴を開ける。

(編集委員 松尾博文)

[日経産業新聞2019年4月12日付]

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