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Q&Aサイトに新風「クォーラ」 実名制×AI 交流活発に

先読みウェブワールド (山田剛良氏)

NIKKEI MJ

今年に入り新しもの好きのエンジニアの間で話題になっているSNS(交流サイト)がある。米国発のQ&Aサイト「Quora(クォーラ)」だ。人工知能(AI)を活用して活気のあるサービスに仕立てた。米国版と同様に業界の著名人が参加しつつあり、日本でもブレイクしそうだ。

回答の閲覧数や高評価の数がはっきり分かる

「飲み会やタバコ部屋でエンジニア同士が雑談している感じの楽しさ」と話すのはオンラインゲーム開発者の中嶋謙互さん。日本語版が正式に立ち上がった2017年11月から参加し、既に130以上の回答を投稿。3月だけで6万回以上読まれた。

クォーラは単なるQ&Aサイトではなく、それぞれの回答を楽しむいわば大喜利型のSNSだ。素朴に見える質問に対して、個人的な体験を交えて語ったり、思わずうなるような知識や見識を披露したりする回答が人気を博している。

支えるのが実名推奨の会員システムと、AIによるマッチングや表示だ。従来のQ&Aサイトは匿名運営が多く、SNSなどにつながる相互交流に限界があった。真偽不明な回答や悪意を込めた回答で「場が荒れる」ことも多かった。

クォーラでは質問も回答も原則実名。肩書や職歴、学歴を公開する会員も多い。そのため「どんな人が答えたか」だけでなく、回答に付く高評価の数で質も一目で分かる。いい加減なことは書きにくいし、ハッキリ評価されるのは回答へのモチベーションになる。

利用者一人ひとりが読みたくなるような回答を優先的に表示するマッチング機能により、自分も回答したくなるように巧妙に誘導する。質問や回答、回答者をフォローする機能を利用してAIが利用者の関心を分析。利用者ごとに表示を変え、コミュニティーの活性化を図っている。

やまだ・たけよし 東工大工卒、同大院修士課程修了。92年日経BP社に入社、「日経エレクトロニクス」など技術系専門誌の記者、日本経済新聞記者を経て16年から日経テクノロジー・オンライン(現・日経 xTECH)副編集長。17年10月から日経ものづくり編集長も兼任。京都府出身

面白いのは質問の扱いだ。一見、匿名風に扱われており、回答者は誰の質問か気にならないようになっている(調べる方法は用意されている)。その一方でより多くの回答を集めた質問の投稿者に一定額の報酬を支払うパートナープログラムを用意する。質問を軽視しているようで実は重視しているのだ。

GMOインターネット特命担当でネットサービスに詳しい世永玲生さんは「質問者のパーソナリティーが奥深くに収容されているからこそ、回答が盛り上がり質問経由のコミュニケーションが活性化する」と分析する。誰の質問かを事前に知るとバイアスが掛かり、炎上にもつながりかねない。匿名風にして読み手の先入観を排し、質問へ関心を高めるわけだ。

利用者の属性を分析して表示画面を切り替えるマッチング機能はフェイスブックなど先行するSNSが取り入れており、特に目新しくはないと世永さんは話す。「マッチングの取り入れでQ&Aサービスを新しいコミュニティーサービスに仕立て直したのが面白い」と評価する。

日本語版には3月末、プログラミング言語「Ruby(ルビー)」の開発で知られるまつもとゆきひろさんが参加。コミュニティーを盛り上げている。米国版ではオバマ元大統領やヒラリー・クリントン氏なども登場する。国内でもそんな存在になる可能性はある。

[日経MJ2019年4月8日付]

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