奥正之(7)青の時代
無力感と後悔 受験失敗 文転し合格、ワンゲルと出会う
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1960年6月、高校1年生の私は京都の南座で歌舞伎を観(み)ていた。演目は二代目實川延二郎が狐忠信を演じる「義経千本桜」の川連法眼館の場面。京都ならではの贅沢(ぜいたく)な課外学習だ。
幕間の休憩時間のときだった。外が妙に騒がしい。3階の窓から下をのぞくと、四条通で警察隊と学生のデモ隊が衝突していた。今では歌舞伎好きだが、当時は延二郎の華麗な身のこなしや早変わりより、眼下の激しいぶつかり合いに興...