2019年6月21日(金)

TikTokに見る「令和時代」 AIで一般人にチャンス
奔流eビジネス (アジャイルメディア・ネットワーク取締役 徳力基彦氏)

コラム(ビジネス)
ネット・IT
2019/4/5付
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NIKKEI MJ

新元号「令和」が発表となり、今月末で平成が終わりを告げる。この30年を振り返るとインターネットの登場が大きく世の中を変えたと改めて感じる。

TikTokはAIが素早くお薦め動画を選ぶため一般人でもインフルエンサーになりやすい

TikTokはAIが素早くお薦め動画を選ぶため一般人でもインフルエンサーになりやすい

筆者は平成7年、1995年にNTTに入社し社会人になった。当時はパソコンすら一人一台ではなかった。文書作成はワープロのオアシスを使い、フロッピーディスクで文書をやり取りし、企業との連絡は電話やファクスが中心だった。

携帯電話は徐々に普及していたが、通話のための「電話機」でしかなかった。携帯電話でメールやチャットをしたり、映画を見たりゲームをする時代が到来するとは全く想像できていなかったように思う。

そういう意味で令和がどのような時代になるのかを想像するのは現時点で非常に難しいが、重要なキーワードは人工知能(AI)だろう。

AIの能力を体感する上でオススメしたいのがTikTokだ。若者が音楽に合わせてダンスをする印象が強い動画プラットフォームだが、使ってみると非常に興味深い現象が起きる。見る人によって表示される動画が全く違うのだ。ペットの動画ばかり見ているとペットがよく登場するようになる。

従来のソーシャルメディアでは、何を表示するかは人間が選ぶのが基本だった。どのブログを読むかは自分で選択していたし、ツイッターやインスタグラムでは友達や有名人をフォローして、その友達や有名人が投稿したものを見る。

しかし、今のフェイスブックは友達の投稿の中から、そのユーザーが最も見るべきだと思う投稿をフェイスブックが自動で選んでいる。ユーチューブでも次に表示する動画は自動で決まる。人間に代わりAIが選んでいるのだ。

なかでもTikTokはAIによる判断のサイクルが非常に高速で、使う人によって表示される動画があっという間に変わることが体感できる。この意味でAIは動画再生のチャンスの民主化という効果も生む。

とくりき・もとひこ 名大法卒。NTTを経て06年アジャイルメディア・ネットワーク設立に参画、09年社長。14年3月から取締役最高マーケティング責任者(CMO)。

とくりき・もとひこ 名大法卒。NTTを経て06年アジャイルメディア・ネットワーク設立に参画、09年社長。14年3月から取締役最高マーケティング責任者(CMO)。

ツイッターやインスタグラムでは人間が手作業でフォローするため知名度でフォロワー数が決まり、一般人は増えにくい。動画の再生回数も当然ながら同じ傾向となる。

それがTikTokではAIが面白い動画を自動で判別するため、投稿を始めたばかりの一般人の動画でもいきなり数十万回も再生されることが起こりえる。TikTokでのインフルエンサーは一般人の比率がほかより高いそうだ。面白い動画を探す判断を人間ではなくAIがすることで、一般人にもチャンスが公平に与えられるようになったわけだ。

AIの活用は何もSF映画のように人間の形をした機械が人間から仕事を奪う形ではなく、人間では難しい大量の小さな判断をコンピューターが自動的に下す形で広がり始めている。すでに日本でも多くの企業がサポートのチャット対応にAIを導入し始めているし、工場の製造現場はもちろん小売りの店頭でも生かしているそうだ。

まだまだ未来の話に聞こえるかもしれないが、平成元年にインターネットの話をしたら、きっと同じような反応をしていたはず。令和の新しい時代に備えて、AI活用の可能性を考え始めてみてはいかがだろうか。

[日経MJ2019年4月5日付]

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