日本で苦戦 米「リンクトイン」 名刺文化など「3つの壁」
読み解き 今コレ!アプリ フラー最高マーケティング責任者、杉山信弘氏

2019/3/20付
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NIKKEI MJ

仕事の効率化が叫ばれている昨今、ビジネスの領域でも多くのアプリケーションが生まれている。日本では江戸時代から存在すると言われている名刺に関しても例外ではない。「ビジネスSNS(交流サイト)」と呼ばれるものに少しずつ置き換わりつつある。日本のSNS領域では珍しく独占が進んでいないこの領域が、群雄割拠の様子を呈している。

リンクトインは米国でビジネスSNSとして人気を集めているが…

リンクトインは米国でビジネスSNSとして人気を集めているが…

筆者が所属するフラー(千葉県柏市)が手がけるアプリ分析ツール「AppApe(アップエイプ)」の推計によると、名刺管理アプリの分野でウォンテッドリーの「ウォンテッドリー ピープル」と、Sansanの「エイト」がMAU(月間利用者数)で拮抗している。2018年11月時点で「ウォンテッドリー ピープル」が20万人を突破して「エイト」を上回ったが、現在は「エイト」が抜き返してわずかながら上回っている。

米国では「リンクトイン」がビジネスSNSで浸透しているが、日本では、「ウォンテッドリー ピープル」と「エイト」ほどの勢いはない。

「リンクトイン」が日本で苦戦している理由は3つあると筆者は考える。1つ目は、日米間の名刺交換のビジネス文化の違いだ。日本では必ずといってよいほど名刺を交換し合う。たまった名刺で顧客や関係者の情報の一括管理が可能だ。

打ち合わせの場で受け取るだけなので、SNSのように「申請」や「承認」を相手に求める仕組みもない。一方で、欧米では、国によって差はあるが、名刺はキーマン同士でしか交換されないことも多く、網羅性があるとは言いがたい。名刺中心のビジネスSNSは、日本だからこそ成り立つモデルであると言える。

2つ目は、キャリアに対する考え方だ。「リンクトイン」は自身のキャリアや仕事内容をプロフィルに詳細に書き込んで公開する。米国では、転職するための手段として利用するビジネスパーソンが多い。米国に比べて人材の流動性が低い日本では、キャリアの公開に抵抗感がある人が多いのではないだろうか。

3つ目は、フェイスブックの使い方だ。筆者のまわりではビジネスシーンでフェイスブックのアカウントを交換し、メッセンジャーでの仕事のやりとりをすることが一般的だ。だが、欧米ではフェイスブックはプライベートなSNSとして機能している。プライベートではフェイスブック、仕事ではリンクトインと使い分けているようだ。

文化・キャリア指向・フェイスブックの3つの壁を乗り越えて、リンクトインが成長するのか、先行する名刺中心のSNSがシェアを占めるのか。過熱するビジネスSNSから、目が離せない。

[日経MJ2019年3月20日付]

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