2019年6月25日(火)

古湯再興 街ぐるみで 長門湯本温泉街(山口県長門市)
おもてなし 魅せどころ

コラム(ビジネス)
2019/3/18付
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NIKKEI MJ

山口県西部の日本海側に面する長門市。長門五湯と呼ばれる温泉の中心となるのが長門湯本温泉街だ。いま、星野リゾート(長野県軽井沢町)の手を借りた街の再開発が来春の完成に向け、大詰めを迎えている。一時は存亡の危機を迎えた温泉街が、街の改造によって人気温泉ランキングの全国ベストテン入りを目指そうという野心的な計画だ。

温泉街を流れる音信川の工事が急ピッチで進む

温泉街を流れる音信川の工事が急ピッチで進む

CNNの旅行情報サイトは昨年末、「日本の美しい旅館」6館の一つとして長門湯本の「大谷山荘別邸音信」を選んだ。施設のデザインやもてなしを高く評価した。

同地が近年、注目されたのは、2016年12月に長門市で開催された日ロ首脳会談だ。プーチン大統領が大谷山荘に宿泊し、地元の日本酒で杯を傾けた。しかしそれだけでは一時のブームにとどまる。

長門市は16年から星野リゾートに依頼し、地元の旅館や住民、総がかりで温泉街一帯の再開発計画を始動させた。単独のホテル・旅館だけでなく、民間の力を借りて地域を面で立て直すのはあまり例のない取り組み。この夏にも公衆浴場「恩湯」など、施設が一部オープンする。

さらに星野リゾートの高級旅館「界」は20年3月に開業する。再開発計画では、街の中心部を流れる音信川に川床や足湯を整備、また温泉街に駐車して、降りてそぞろ歩きや買い物、飲食が楽しめるエリアが完成する。地元の萩焼の陶工に学べる体験コーナーも用意する。

星野佳路社長は「知名度が上がればインバウンド(訪日外国人)の多い広島や、クルーズ船経由での来訪があるはず」と海外からの観光客にも期待を示す。「海外からの個人旅行として、香港や台湾などからの客を見かけるようになってきた」(温泉街に11軒ある温泉旅館の一つ、玉仙閣の伊藤就一専務)との声もすでに聞こえてきた。

長門湯本はもともとは団体客が主体で、バブル前後には年間40万人の宿泊客があった。それが老舗ホテルの倒産などもあって20万人を割り込み、温泉街は存亡の危機に立たされていた。

長門湯本は交通の便は悪いが、風情ある温泉として一部からはそれでも評価されていた。民間企業を巻き込み温泉街の中心を変貌させるほどの改造は近年珍しい。目指すのは宿泊客30万人以上への回復。観光関係者も注目する挑戦が動き出している。

(山口支局長 竹田聡)

[日経MJ 観光・インバウンド面 2019年3月18日付]

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