春秋

2019/3/15付
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「ホノルル空港で勝新太郎が逮捕された」。警視庁詰め記者をしていた1990年1月17日の朝まだき、この外電を知らされて仰天したものだ。コカインと大麻の所持で、向こうの税関に捕まったという。正月気分を吹っ飛ばす一大薬物スキャンダルの始まりであった。

▼平成に改まって1年後のことだ。昭和を代表する大物スター「勝新」の名を知らぬ人はいなかった。それほどのビッグネームにかかった疑いとあって世間は大騒ぎ、取材合戦が熱を帯びたのは言うまでもない。本人は国外退去を命じられながらハワイに1年4カ月も籠城し、コカインという麻薬への注目もがぜん高まった。

▼あの騒動を思い出す人もいよう。ミュージシャンで個性派俳優としても人気のピエール瀧容疑者の逮捕だ。「機内で知らない男に薬物を渡され、パンツのなかに入れていた」と釈明した大御所とは違い、容疑をすんなり認めているらしい。とはいえこの事件、時が流れて再び広がるコカイン汚染の象徴であるかもしれない。

▼かつて徹底した撲滅作戦を繰り広げた南米コロンビアでは、原料となるコカ葉の栽培面積がまた増え続けているという。昨年は横浜港で過去最大級のコカインが押収されてもいる。そういえば瀧容疑者は、いかつい「昭和顔」で役者としての評判をとった。時代を逆戻りさせるのは物語のなかだけで十分であったのに……。

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