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雇用生み出し人類幸福に

SmartTimes サムライインキュベート代表取締役 榊原健太郎氏

なぜ起業したのか、との質問に一言で答えると、社会貢献がしたかったからだ。全人類がそれぞれの幸福で満たされる世界を創りたいと思い、起業した。

74年生まれ、関西大学卒。大手医療機器メーカーを経て00年アクシブドットコム(現VOYAGE GROUP)入社。08年にIT起業家の育成支援をするサムライインキュベートを創業。

その原点はどこからきたのか振り返ってみると、大学4年生の時に日本国際救援行動委員会(JIRAC)という団体で非政府組織(NGO)隊員として参加し、カンボジアで子供たちと遊んだ体験が大きく影響している。

あの時なぜ隊員になろうとしたのかは思い出せないが、カンボジアで出会った子供たちの圧倒的な笑顔は今も鮮明だ。彼らは日本では見たことのないような輝く瞳を持っていた。カンボジア語は分からなかったが、一緒に鉄棒を作ったり、歌ったりして遊んだ。

ペルサバイペルユンリクレイナムクエンティアダイ――。誰もが知っている「幸せなら手をたたこう」のカンボジア訳の歌詞を必死に覚えた。25年も前の話だが、これだけは今でもスラスラ歌える。

子供たちの楽しそうな姿を見て、「世界中の人々をまぶしい笑顔でいっぱいにしたい。これが自分にできる社会貢献だ」とはっきり意識した。当時は一人ひとりの子供に対するフィジカルな支援が一番重要だと思っていた。

しかしその10年後、それでは人生をかけても「全人類」を笑顔にすることはできないと気付いた。「フィジカルな支援のボランティア精神は高いが、本質的なインパクトのある社会貢献とは言えない」と、起業家を支援されているとある方にいただいたアドバイスがきっかけだ。

自分なりに考え抜いて、たどり着いた結論は、「世界中に起業家を生み出し、その企業が成長することで、たくさんの雇用を生み出すことができる」ということ。そうすれば多くの家庭にお金がまわり、ゆとりのある親から子供にたっぷりの愛情が注がれ、たくさんの笑顔が生まれる。この方が、圧倒的に全人類を幸福にするスピード、そして可能性が高いと思った。

国際労働機関(ILO)の2018年の世界雇用情勢報告によると、グローバルの失業率は5.5%で、日本の水準の約2倍。失業者数は、日本の総人口を上回る約1億9200万人と言われる。もっと広く、ILOが定義する世界の脆弱な就業者数まで目を向けると、約14億人が満足な雇用を得られていない現実が見えてくる。

幸福を生み出す方法は、もちろん他にもあるだろう。しかし、幸福を感じることができるお金を少しでも多くの家庭に流通させるため雇用を生み出すこと、つまり起業家を生み出しインキュベーションすることが、私にとってインパクトのある方法であり、全人類を幸せにできる最善の方法だと確信している。日本で培ったノウハウの世界展開は、我々にとっての大きなミッションである。

[日経産業新聞2019年3月8日付]

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