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意思疎通、トップが努力

新風シリコンバレー ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社長 ロッシェル・カップ氏

シリコンバレーの企業は経営者のビジョンと目的を明確にさせ、チームのメンバーと共有し、皆が進む方向性を一致させることを重視している。それは自動的に起こるわけではなく、リーダーの大切なメッセージを社員に理解してもらえる努力が必要であるとの認識の上に成り立っている。

人事管理とグローバル人材育成を専門とするコンサルタント。シリコンバレー流の経営を理解し、学べるようにすることに注力している。著書に「日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法」

その手段としてシリコンバレーの企業は社内コミュニケーションにかなり力を入れている。その方法はバラエティーに富んでいる。社内のニュースレターやメール、ブログ、ビデオ、全社員が参加するイベントや社員と自由に話せる懇談会などを利用し、徹底的に社員に伝える努力をしている。皆が同じ方向に進めるように、自分たちが何のために何をどうしようとしているのか、共通の理解が得られるようにコミュニケーションを取っている。

社内コミュニケーションの良い例に半導体大手のインテルがある。世界中に10万人以上の従業員を持つこの会社はトップのメッセージを社員に伝えることが容易ではない。

インテルには社内コミュニケーションの専門部署があり、様々な分野の専門家が集結している。ライター、ビジネスアナリスト、ウェブデザイナー、ビデオプロデューサー、プロジェクトマネージャー、コンテンツプロデューサーがこの中に含まれている。チームは社長のスピーチや社員へのメールやビデオ、そして社内のソーシャルメディアの運営までも手掛けている。

その活動が的を射ているのかどうかもチェックしている。4回の「メッセージ理解トラッキングアンケート」を実施。その結果を分析して最高経営責任者(CEO)へのリポートにまとめさせ、会社の現場で従業員と話す際の準備材料に生かしている。

インテルほど多くのスタッフはいないかもしれないが、ネットフリックスやインスタカートなどにはチーフ・コミュニケーション・オフィサーという部長レベルの役職がある。社内外のコミュニケーションのすべてを担当しており、広報会社出身の人も多い。社外のコミュニケーションと同じほど従業員へのコミュニケーションを大切にしているし、社内と社外のメッセージが一致しているように気をつけるのも彼らの仕事だ。

この中でもシリコンバレーらしいといえる工夫がある。従業員とのコミュニケーションをしやすくするソフトウエアツールをつくっている会社もある。ダイナミック・シグナルは従業員がスマートフォンでアクセスできるプラットフォームをつくり、それを使って会社が従業員にメッセージを発信している。そうすることで従業員が見る確率は格段に上がる。

米コンサルティング会社、EYが2016年に発表したグローバル調査で日本の企業の従業員は他の国に比べて会社に対する信頼度が低いことが明らかになった。社内コミュニケーションはその良い対策になるかもしれない。その大切さと方法に関して、日本の企業はシリコンバレーの企業から多くを学べるだろう。

[日経産業新聞2019年3月5日付]

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