2019年7月22日(月)

カインズ、スマホで資材注文 計5万点、在庫55分以内に
戦略ネットBiz

コラム(ビジネス)
2019/2/27付
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NIKKEI MJ

ホームセンター大手のカインズがデジタル戦略を進める。2018年末、スマートフォン(スマホ)から資材を注文できるサービスを初めて導入。2月までに4店舗に広げた。利用者は計5万点の木材や金物から事前に選択し、55分以内に指定の店舗で受け取れる。国内ではリフォーム市場が堅調だが、資材の販売店は減少している。利便性で訴求し、需要を取りこむ。

カインズは資材のネット注文サービスを20年末までに全店で始める(埼玉県新座市のカインズ新座店)

カインズは資材のネット注文サービスを20年末までに全店で始める(埼玉県新座市のカインズ新座店)

2018年12月に新サービス「55-DASH」を始めた。同社の大型店は計15万点の商品をそろえ、うち資材類は5万点。木材や鉄パイプ、セメント、工具などの資材は建設業者やDIYをする一般消費者の需要が大きく、ホームセンター以外はあまり扱わない主力商品だ。

しかし配送業者には運べる商品の長さや重さに制限があり、配送できない商品が多かった。ネット通販との親和性が低く、デジタルとの融合は進んでいなかった。

新サービスでスマホのアプリから資材の注文を受け付け、利用者が選んだ店舗に取り置いて販売する仕組み。その店に在庫がある場合には55分以内に店頭に用意してスマホに通知。在庫がなければ他店舗から取り寄せる。

新座店(埼玉県新座市)と鶴ケ島店(同鶴ケ島市)の資材館で導入し、2月から町田多摩境店(東京都町田市)、前橋吉岡店(群馬県吉岡町)でも始めた。3月に社長に就く高家正行副社長は「スマホの登場で買い物の仕方は急激に変化した。従来のやり方ではまずい」と焦る。カインズは20年末までに、55-DASHを全店に広げる。

サービス開始から、累計の利用者数は120人いる。「想定以上の数字」(同社)だが、利用状況は想定と違っていたという。

55-DASHは、当日資材が必要な工務店や職人が朝のうちに注文し、開店後にすぐ受け取って仕事場に持ち運べるのが利点。欲しい商品を店頭で探す手間を省けるからだ。工務店などは仕事前に最寄りのホームセンターに来る人が多く、カインズの資材館も朝7時から開店している。

だがサービスを始めると、注文の集中する時間帯は夜間だった。導入はまだ4店だが、夜のうちに在庫があるかを確認し、あれば注文。なければアプリで在庫のある店を探し、「車で1時間かかる距離でも別の店に来ている。導入前の他店舗への呼び込みにもつながった」(カインズ)。

野村総合研究所によると、国内のリフォーム市場は30年まで6兆から7兆円台のまま堅調に推移する見通しだ。建設資材の需要も同様に続くと見られるが、資材を扱う専門店の数は減り続けている。総務省の調査では、16年まで10年で建材店は5割、金物屋は4割減った。

一方ホームセンターは増え続け、18年は3683店(日本DIY協会調べ)。日用品やついで買いできる店作りで浸食してきた。だがホームセンターは18年の既存店売上高が前年比1%減の2兆5797億円と12年以来、7年連続のマイナス。各社が新規出店に成長を頼るが、既存のパイを奪い合う消耗戦だ。

カインズは日用品や雑貨など一般消費者向け商品でも同様のサービスを計画する。ネット通販が普及する今、集客力のない実店舗は生き残れない。まずは配送できない資材で店へ呼び込み、他の商品のついで買いを促す施策をとる。ホームセンター流の独自のデジタル戦略が注目される。

(池下祐磨)

[日経MJ2019年2月27日付]

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