春秋

2019/2/22 1:13
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デビュー2年目の女子プロレスラーと「対戦」したことがある。ヒュッと飛んでくる回し蹴りはミットで受けるのがやっと。最後は首投げでマットに背中を打ちつけられた。「大丈夫ですか」とほほ笑む彼女の顔には、試合で相手に蹴られたリングシューズの跡が――。

▼この取材体験を、心底うれしそうに聞いてくれたのが作家の堺屋太一さんだった。先日告別式も執り行われ、改めてその先見性や構想力の素晴らしさを称(たた)える声が聞かれる。だが、熱烈な女子プロレスのファンだったことはあまり話題になっていないようだ。興味の幅の広さを表すエピソードなのに、ちょっと残念に思う。

▼日本で一番早く「週刊プロレス」が売り切れるのは東京・霞ケ関の地下鉄駅売店。それは官僚に隠れプロレスファンが多いからだ。そんな話を昔聞いたことがある。規則、規制の世界に生きるだけに、反則攻撃さえ認められる「何でもあり」の空間で閉塞感から解き放たれ、喝采を送るのだとする解説も、妙に納得できた。

▼ミスにごまかしに忖度(そんたく)。官僚の評判はこのところ芳しくない。偉大な先輩、堺屋さんを見習って、とお願いしたいところだが、霞が関の今の職場の環境や慣行をあれこれ聞けば、同情したくなる話もたくさんある。批判されるだけでは、人も組織も育つまい。官僚が本当のヒール(悪役)になってしまったら私たちが困る。

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