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前沢氏、技ありツイッター

SmartTimes ユーザーローカル社長 伊藤将雄氏

1月上旬、衣料品通販サイトを運営するZOZOの前沢友作社長が個人資産1億円を投じてお年玉キャンペーンを実施したのはご存じであろう。「100万円を100人に現金でプレゼントする」と自身のツイッターで発表した企画だ。

1997年早大政経卒、ビジネス誌出版社に入社。2000年楽天入社。02年に学生時代に開発した「みんなの就職活動日記」を事業化し、04年に楽天に売却。05年にユーザーローカル設立。

このリツイート(転載)キャンペーンの効果がどの程度だったのか、SNS(交流サイト)分析ツールSocial Insight(https://social.userlocal.jp/)を使って調査し、まとめてみた。

まず全体の数字から。元ツイートは550万リツイートされ、昨年まで50万人程度だった前沢氏のフォロワーは610万人を突破した。1人当たりの獲得コストを計算すると20円弱。通常のキャンペーンの獲得コストは1人当たり100円程度のことが多いから、費用対効果はかなりよかったことがわかる。元ツイートの露出回数は1億8400万回だったので、1表示あたりのコストも0.5円ほどと安い。

では、どんな層が実際にキャンペーンに応募したのだろうか。応募者属性を推定してみたところ、平均年齢では28歳。男女比率は55対45とツイッターの利用属性に近く、地域の偏りもなかった。

これほど数字が伸びたこと、そして、属性に偏りがない理由の一つとして、タイミングがよいこともあるだろう。正月明けの土曜という他にあまり話題がない時に開始し、月曜夜まで実施している。テレビの正月特番もほぼ終わり、かつ他社のキャンペーンがまだ実施されていない絶妙な時期だ。家庭内や友人間のみならず、週明けの職場内で話題になったことだろう。

キャンペーン終了後、どの程度の人がフォローをやめたのだろうか。すでにフォロワーは100万人以上減少しているが、単発でRTキャンペーンを実施した場合、もっと高い割合で下がるケースもあり、率で見ればそれほど悪くない。

ツイートを分析していくと、当選者の選出がランダムな抽選方式ではなかったのではないか、という批判の声も多く上がっている。企業の販促キャンペーンなどには平等性が求められるが、今回は企業ではなく個人で実施したことで、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)に関わるリスクも回避している。

このキャンペーンが綿密に計画されたものなのか、前沢氏の思いつきではじめたものなのかはわからない。だがマーケティングでも法律面でも絶妙な企画だったといえる。

(追記)この原稿を書き終えて掲載日を待っていた2月7日、前沢氏は「本業に集中する」としてツイッター休止を発表した。もっともアカウントは残っており、21日午後3時時点でフォロワーは473万人もいる。しばらくしたら再開し、今回のような企画を再びやるかもと期待している人が多いのかもしれない。

[日経産業新聞2019年2月22日付]

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