2019年6月26日(水)

訪日客呼び込み ECとコラボ 割高な国際送料 課題
奔流eビジネス (通販コンサルタント 村山らむね氏)

コラム(ビジネス)
2019/2/22付
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NIKKEI MJ

2月19日~22日まで都内で開かれる「インバウンドマーケットEXPO」。「越境ECとインバウンド観光のマリアージュ」をテーマにしたセミナーで、モデレーターを務めた。日本をテーマにしたインターネットショップを運営するゾェルゲル・ニコラさんと、越境電子商取引(EC)の商品配送を手がけるtenso(東京・品川)執行役員の浜田祐輔さんに登壇してもらった。

春節を楽しむ訪日外国人客でにぎわう免税店(東京都千代田区のラオックス秋葉原本店)

春節を楽しむ訪日外国人客でにぎわう免税店(東京都千代田区のラオックス秋葉原本店)

ドイツ出身のニコラさんは小田原の梅干しの老舗の跡継ぎとご結婚されたのが縁で、「NIHON ICHIBAN」という日本の伝統工芸品を海外向けに販売するネットショップを2012年に開設。3年前には、箱根にリアル店舗を開設した。

セミナーでは、1月に施行された中国のEC法が話題に上った。EC法とは個人営業を含めたネット通販事業者に登録と納税を義務付けるもので、いわゆる渡航先での代理購入や爆買いを沈静化させることが予想されている。

一方で、自分が欲しいモノをじっくり時間をかけて購入するインバウンド客が増えそうだ。ニコラさんも「今後は、どれだけ売り場が時間をコミットできるかが重要な鍵になる」と指摘。今後は、店舗や工房などで日本の伝統工芸を体験できるイベントを企画したいと語っていた。

観光客が帰国してからも購入につながるかということについては、ニコラさんも、「これからの課題」と言う。ただ、ネットショップとして、リアル店舗を持つことは信頼性の獲得に優位であると明言する。その意味では、インバウンドの人気を集める物産店や老舗菓子店などは、越境ECにアドバンテージがある。

日本の観光地はECに遅れているところが多い。これからは、インバウンドが帰国してからもリピート買いしてもらえる仕組みや、また来たくなる情報提供を本格的にしていくべきだろう。

インバウンド観光客を越境ECの顧客としてコンバージョンしていくためには、国際的に割高な日本の送料が課題となる。海外へ送る送料について、何かしらの国策的な対策を講じなければ、国際競争力は低下していくことになろう。

むらやま・らむね 慶大法卒。東芝、ネットマーケティングベンチャーを経てマーケティング支援のスタイルビズ(さいたま市)を設立、代表に。

むらやま・らむね 慶大法卒。東芝、ネットマーケティングベンチャーを経てマーケティング支援のスタイルビズ(さいたま市)を設立、代表に。

tensoの浜田さんはセミナーで「地方が集めたふるさと納税を原資として、越境ECの送料を安くできないか」と提言した。非常にとっぴな内容に見えるかもしれないが、実は理にかなっている。ある種のプロモーションコストとして、地方の物産を海外の顧客に手軽に買ってもらうことは必ず、訪日観光にもつながり、リピート買いにもつながる可能性があるからだ。

観光とECをどうにかつなげて、強いエンゲージメントをつくっていく。越境ECに関して、日本は言語という壁がある。その上、送料という壁もあるのでは、非常に戦いづらい。観光とECの間にもある壁をどうにか取り払って、「来て買って、帰って買って、また来たくなって」という、無限連鎖をつくっていければと思う。

[日経MJ2019年2月22日付]

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