ファンド運用「動機」が肝心
新風シリコンバレー コア・ベンチャーズ・グループジェネラルパートナー ジョアナ・ドレイク氏

2019/2/22 6:30
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ベンチャーファンドに出資する企業(リミテッドパートナー=LP)とファンドを運用するジェネラルパートナー(GP)の間では、利害関係に大きなズレが生じることが多々ある。

ジョアナ・ドレイク Current TVなどのメディア関連企業の幹部やDeNA WESTの最高執行責任者を経て、コア・ベンチャーズ・グループのジェネラルパートナー。スタンフォード大修士、カリフォルニア大バークレー校卒。

ジョアナ・ドレイク Current TVなどのメディア関連企業の幹部やDeNA WESTの最高執行責任者を経て、コア・ベンチャーズ・グループのジェネラルパートナー。スタンフォード大修士、カリフォルニア大バークレー校卒。

LPはファンドを通じてスタートアップにアクセスすることで革新的なビジネスモデルやテクノロジーを特定したり、それらを活用したりすることを目指す。あるいは将来の買収の可能性に備えたり、起業文化を取り入れたりすることが狙いの場合もある。

だが典型的なGPはこれらを満たす現実的なインセンティブを持たない。インセンティブを優先度合いの順に挙げると、(1)最適な投資機会を得るために質の高い起業家との人脈を広げる(2)起業家と最適な関係を築いて最終的にはその起業家の保護を受ける(3)ポートフォリオを構成する企業が最低でも資本の3倍、理想的には10倍で売却するか上場する――がある。

投資の際に最も重視しているのは起業家のネットワークだ。成功した取引の大半はそれらのネットワーク内で繰り返し起業し、成功を収めている創業者とのものか、ネットワーク出身の人物とのものだ。トップクラスのネットワークの紹介を受けていない創業者と第三者的な取引をしようとしているのなら、ファンドが成功する見込みは低い。

GPの目標を理解しているなら、LPがキャピタルリターンを超えた独自の戦略的目標を達成してもそれは後付けにほかならない。GPが最も時間を割きたがらないのは、新しい技術の傾向についてLPを教育することやLPと生産的な相互関係を構築することだ。

スタートアップの資金調達先リストのトップに挙がるのは金融投資家だ。法人投資家からの調達はほとんどの場合、最終手段だ。GPが企業を共同投資家や初期の投資に熱心に誘っている場合は通常、そのスタートアップの業績が芳しくないということになる。

だが、例外的に異なるビジネスモデルのベンチャーファンドが目的を共有している。私たちコア・ベンチャーズ・グループは高い可能性を秘めたスタートアップの日本への参入を成功させるための支援モデルを持つ。米国で成功を収めたハイテク企業が国際的なデビューを果たす最適な市場はおそらく日本だからだ。

世界3位のGDPや技術導入の早さ、価格に寛容な顧客層、高い口コミ率とリピーター、地理的な人口密度、シリコンバレーへの近さなどがその理由に挙げられる。スタートアップの創業者たちが言語や文化の違いへの恐怖感を克服できれば、当社のLPである日本の大企業も国際市場に理想的に参入できる。

LPの幹部たちが典型的なGPと向き合った時、当社はそのGPが経済的収益を越えて特定の市場目的を追求しているかどうかを確認するように促している。「プロダクト・マーケット・フィット(PMF)」は顧客の課題を満足させるプロダクトを提供し、適切な市場に受け入れられている状態を指す。この教訓は起業家のためでもあり、投資家のためでもある。

[日経産業新聞2019年2月19日付]

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