貧困減らすフィンテック
SmartTimes 久米繊維工業会長 久米信行氏

2019/2/18 6:30
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2018年12月、安倍晋三首相を議長とする国家戦略特区諮問会議は電子マネーによる給与支払い解禁ななどを議論し、ようやく日本もキャッシュレス社会へ舵(かじ)を切り始めた。追い風を受けるのが、日本よりも海外での評価が高かったフィンテック企業、ドレミング(福岡市)だ。

1963年東京都墨田区生まれ。国産Tシャツメーカー久米繊維工業の三代目会長。明治大学商学部「ベンチャービジネス論」講師、多摩大学経営情報学部「SNS論」客員教授

1963年東京都墨田区生まれ。国産Tシャツメーカー久米繊維工業の三代目会長。明治大学商学部「ベンチャービジネス論」講師、多摩大学経営情報学部「SNS論」客員教授

同社は今日働いた分の給料を即受け取ることができるサービスを国内外で提供し、16年には日本企業で初めてKPMG「FinTech100」の有望新興企業に選ばれた。

会長の高崎義一さん(ドレミングホールディング最高経営責任者)とは20年前からのお付き合いになる。苦労人で、20歳で居酒屋、30歳の時にモスバーガーのフランチャイズ店を兵庫県西宮市で始めた。社員やアルバイトの勤怠管理に頭を悩ませながらも、独自のシステムを開発して多店舗のオーナーとなった。

ところが38歳の時に阪神大震災に遭い売り上げが半減。経営危機を脱する糧となったのが自社利用のために開発していたインターネット・タイムレコーダーで、勤怠管理に悩むモスバーガーのオーナー仲間が導入してくれた。「地獄に仏」を見た高崎さんは、こうしたご縁やご恩に報いる生き方を貫いてきた。

ドレミングが進めるサービスも、このインターネットを使った勤怠管理のシステムがベースになっている。社員もアルバイトも、給料日を待たずして、好きな時に働いた分だけの給料を、自分のスマートフォンから指定口座に振り込むことができる。これは、勤務時間や勤労状況などの給与計算データをクラウドで管理できるからこそのサービスなのだ。

もともとは経営者視点の業務効率化ツールが、働く人を支援する仕組みとして進化を始めたきっかけは、ある日、高崎さんがネットカフェ難民の若者たちの窮状を知ったことだった。働く人々の苦しみは国内だけの話ではなく、例えば、欧州連合(EU)域内で働く移民の中には、給料日まで待てずに高利貸しに手を出さざるを得ない人がいることも知った。

貧困や格差に悩む人たちを救いたいとの強い思いが経営理念へと昇華され、海外展開へ羽ばたき、その翼を今も広げている。

最後に高崎さんから新年に届いたメールの一部を紹介しよう。キャッシュレス化は偽札や泥棒、窃盗、賄賂、脱税といった不正行為を減らす効果もあるとのこと。「中東、アフリカ、インドやアジア各国の中央銀行や政府機関から早く事業展開してほしいと要望され走り回っています。キャッシュレス社会は、持続可能な社会の構築に本当に必要なことだと肌で感じる今日この頃。銀行口座を持っていない世界の20億人の金融難民にサービスを提供し貧困を減らしますので、今後ともご支援、よろしくお願いします」。

[日経産業新聞2019年2月15日付]

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